◇ 8月にトランプ大統領の腹心ブレーンであったバノン首席戦略官が辞任したが、その後もトランプ政権の政策運営にはあまり大きな変化が見られていない。バノン氏は辞任後もトランプ政権に対して強い影響力を保持していると見られている。
◇ トランプ大統領の言動及びトランプ政権の政策運営に対し、有識者の大多数が不信感を一段と強めているが、その不満の受け皿となる魅力的なリーダーが野党民主党の中に現れていない。
◇ 米国一般選挙民のトランプに対する支持率は30%台後半前後で推移しており、あまり大きな変化が見られていない。有識者の間で共有されているトランプ政権に対する不信感の高まりと一般庶民のトランプ政権支持率の動きが乖離しつつある。
◇ 米国の主要メディアは反トランプの立場から偏った報道をしているとの評価が定着している。日本の主要メディアにも同様の傾向があり、そうした本社のバイアスがかかった報道姿勢に対してワシントンDCの記者の間では不満が募っている由。
◇ トランプ政権の対中外交は、北朝鮮問題の解決を最優先課題と位置づけ、中国が北朝鮮に対して強硬姿勢を取らない場合には、中国に対して貿易摩擦の圧力を強めて米国への協力を迫るというのが基本方針。しかし、中国の北朝鮮に対する姿勢はトランプ政権が期待する強硬姿勢からは程遠い状況が続いている。
◇ 中国は北朝鮮から攻撃を受けるリスクがほとんどないため、米国に同調して制裁を強化するインセンティブが乏しい。米国は北朝鮮に対する石油輸出の全面禁止を主張しているが、北朝鮮向け石油輸出の大半を占める中国の同意は得られていない。
◇ 北朝鮮に隣接する中国の東北地域は深刻な経済停滞が続いており、もし北朝鮮が食糧難に直面し大量の難民が流出してくる場合、同地域の不安定化リスクは高い。
◇ トランプ政権は、中国による北朝鮮への制裁協力が不十分と判断し、スーパー301条、貿易通商拡大法232条に基づいて、中国に対する貿易摩擦の拡大を準備しつつある。
◇ ライトハイザー通商代表は、トランプ政権の貿易政策が対中貿易赤字の縮小を主要な政策課題に掲げ、二国間交渉により解決を目指そうとしている基本方針を述べた。
◇ 米国では中国政府による知的財産権の侵害に対する反発が強い。中国に対する警戒感の強まりが中国企業による米国企業買収に対する規制強化の動きにつながっている。
◇ 1980年代以降の米国社会の貧富の格差拡大は、自由貿易体制下の輸入増大、移民流入、不十分な所得再分配制度、金融業の重視等によって引き起こされた。米国内では最近そうした経済社会を再設計すべきであるとの主張が増えてきている。
全文はキヤノングローバル戦略研究所のHPよりご覧ください。