バニラエア問題、車椅子の僕が感じたこと 過去にこんなことで困った

弱者の意見が炎上しないと反映されにくい社会側にも、なんでも我慢して意見を言わない障害者側にも問題があると思います。

バニラエアの搭乗拒否の件、非常に難しい問題ですが僕の意見を言っておきます。

一方の味方をするつもりは無く、双方に問題があると思っています。

もっと言えば弱者の意見が炎上しないと反映されにくい社会側にも、なんでも我慢して意見を言わない障害者側にも問題があると思います。

細かい分析は他の方がしてくれているので、ポイントを絞っておきます。

・バニラエアは車椅子の方の事前問い合わせは、搭乗を断っていた。

バニラエアを利用した友達の車椅子の方もバニラエアの改善に向けての行動をしていましたが、変えることはできていませんでした。

・木島さんは事前連絡せずに行き、スタッフの制止を強行突破する方法は健常者の理解は得られない。

・階段を手で登るのは危険なので禁止。

小学校では1階から4階まで各階に車椅子を置いて手で階段を登り降り。

実家では車椅子を降りて生活し自分の部屋は2階などを経験してきた自分にとっては、正直一番ビックリしました。

先日もビルの4階まで手で這って登りつつ、自分で車椅子を引っ張り上げたのですが、

周りからするととんでもない行為なのでしょう。

「車椅子」と一括りにされがちで、全員こんなことができるわけでは無いですが、

僕が階段を手で登るのは日常の行為であって、危険行為ではありません。

健常者が「足」で歩いているのと同じく、僕は「手」で歩いているのです。

というわけで、僕の過去の困った経験もいくつか上げておきます。

■旅先でのバス

地方への旅行先でバスを利用した際に、ノンステップバスだったのでスロープをお願いしたところ、

運転手さんに「前日までに連絡いただけないとスロープ使えないんです」と断られました。

乗客はゼロに近かったので、混雑が理由などでは無かったです。

仕方ないから、這ってイスまで移動し、妻に車椅子を運んで貰いました。

そして終点で降りようとした際に運転手さんが、

「手のチカラ強いねー ビックリしちゃった。スロープ出します?」と言ってくれました。

僕の方もビックリしつつ「自分で行きます」と自力で降りました。

たぶん運転手さんに悪気はなく、ルールを厳格に守ったんだと思います。

本当はバス会社に改善要望の連絡をしようと思っていましたが、

拍子抜けして結局連絡できませんでした。

悪気が無いパターンは、厄介だと思います...

■ディズニーのアトラクション

ディズニーはスタッフ・施設共に素晴らしいですが、一部のアトラクションでこういったこともあるという話です。

ディズニーでのデートでアトラクションに乗ろうとした際にスタッフの方から

「車椅子のままでは乗れないので、乗り物に移れますか?」と聞かれ「移れます」と答えました。

止まった状態の乗り物にあと3メートルほどの位置で、

スタッフが「この線から先は危険なので車椅子は置いて歩いて乗ってください」と言われました。

僕は「乗り移ってから車椅子を下げて貰うので」と言ってもダメだったため、這って乗ろうとしました。

するとスタッフが「歩けない方は、非常時の避難ができないため乗れません」と制止されてしまいました。

スタッフの話によると、非常時は1メートルほどの幅の避難経路を歩く必要があるそうでしたが、

這って移動できるから大丈夫と言っても「歩けないとダメ」ということでした。

15分ほど色々と説明し、最終的にはマネージャーの方が「今回だけですから」ということで乗せていただきました。

デートなのになぁとガックリした記憶が残っています...

■幅広改札の改善要望

普通の幅の改札とは別に、幅が広い車椅子でも通れる改札があります。

新宿駅の幅広改札を出ようとしたら、逆方向から10人くらいの人が立て続けに入場してきました。

改札の機械は入場が続けば一定時間は入場しか出来ません。

出たいこちらは待つしかないのですが、待っている間に入場してくる方がいるので、なかなか出る事はできません。

時間にしたら2、3分。

駅の混雑によっては、毎回のようにこんな思いをしています。

すぐ先には通常の改札もありますが、それが見えていないのか、見えても気にせず、幅広を使うのだと思います。

鉄道会社の11社に具体的な改善要望の問い合わせをしたり、新聞の投書をしました。

東京新聞さんの投書欄に掲載していただいた記事はこちらです。

結局鉄道会社からは、お決まりの「ご意見ありがとうございます。今後の改善に役立てます。」の返信で、改善されている駅は見かけないです。

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障害者が意見を上げても、改善されないことが当たり前になっています。

炎上させなくても、改善されていく社会にしていく必要があると思います。

健常者と障害者が対立して、障害者が便利を勝ち取るのではなく、

健常者と障害者の双方が近づくことで、障害者が生活しやすい社会になりますように。

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(2017年6月30日かんばらけんた 車椅子ダンサー「バニラエアの件 車椅子ユーザーの意見」より転載)

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