ゼロから生み出すより、乗っかれ――僕が大切にしているゲリラPRの心得

僕は、予算を極力使わずに露出を獲得するためには色々なことに"のっかる"ことが大切だと思っています。定期的に露出をとっていくためにも、僕は"のっかる"ことは大切だと思います。

こんにちは、砂流です。第5回目のテーマは「僕が大切にしているゲリラPRの心得 part1」です。心得なんて言ってしまうとなんだか偉そうに聞こえてしまいますが、今回の連載から僕がPRで意識して考えていることをご紹介していきます。事例つきで手口をさらけ出していきますのでよろしくお願いします。

それではさっそく心得にいきたいのですが、その前に1つだけ話をさせてください。僕は、予算を極力使わずに露出を獲得するためには色々なことに"のっかる"ことが大切だと思っています。ゼロからネタを作って世の中をアッといわせること(イケてるサービスや製品を発売するも入ります)ができれば良いのですが、正直、年に1度でもあったら凄いことだと思います。また、ゼロから生み出すことは非常に難しく不定期になりがちです。定期的に露出をとっていくためにも、僕は"のっかる"ことは大切だと思います。

今回はそんな"のっかる"の基本形で大事なコアの部分をご紹介します。

それが「世の中の流れにのっかる&メディアの持つ特性にのっかる」です。

■世の中の流れにのっかる&メディアの持つ特性にのっかる

・テレビや新聞、雑誌、ネットニュースなどメディアで話題になっているもの

・Twitter、Facebook、NAVERまとめなどネットで話題になっているもの

・季節がらのイベント(3月であればひな祭り、卒業式など)

・政治ネタ、経済ネタ、恋愛ネタ

など、世の中で話題になっているものにうまくのっかれないかを探る考え方です。世の中で話題になっている、メディアが一度ニュースにしていることを"後追いする"とも言えます。

ただ、なんでもかんでものっかれば良いというわけでもありません。のっかるネタを見極め、のっかるためのネタの用意をしないと、ただの二番煎じや、寒い感じに見えてしまい露出がかえって逆効果になってしまうので注意が必要だと思っています。

エイサー時代に色々なものにのっかってきましたが、エイサーがのっかる意味や理由があるもの、意味や理由がなければそれを作った上でのっかっていました。

今回はエイサー時代におこなった中でも特に話題になった事例をご紹介させていただきます。

皆さんは2013年のお正月、ロケットニュース24さん(以下ロケットニュース)という面白くてイケてるネットニュースの記者さんに起きた悲劇がネットを騒がせたのをご存知でしょうか? 

その悲劇がコチラです。

12月25日から8日間もアップルに並んで一番乗りで福袋を買った男性「絶対MacBookAirが当たるはず」→ iPod nanoだった

(リンク記事も読んでみてください)

タイトルにすべてが要約されているので多くの説明は省きますが少しだけ。アップルストアは年始にLucky Bagという名前の福袋を3万円くらいで発売しており、当たりの福袋にはMacBookAirが入っています。その当たり福袋をゲットするために、クリスマスから8日間もアップルストアの前に並んでいた田代さんという記者の福袋の中身がMacBookAirではなく、iPod nanoだった!という記事です。

この悲劇がお正月にネットで話題になりました。

この話はエイサーは関係ないどころか競合に関わる記事なのですが、記事中でMacBookAirが当たらなかった田代さんがこんなことを話していました。

・家に帰りたいです

憔悴(しょうすい)しきった表情の田代さん。「もともと日本エイサーが好きだし、MacBookAir が当たっても使い道に困ったと思うし、寒いからTシャツが当たってむしろ良かったし、ヘッドフォンは定価だと3万円くらいするらしいのでむしろラッキーだし」と語る田代さんは死んだ魚のような目をしていた。

「もともと日本エイサーが好きだし...」。

エイサーの人間でなければ気にも留めない一文だと思いますが、実家に帰省中で姪っ子と遊んでいた僕は「なんて嬉しい一文なんだ!」と興奮しました。しかもこの田代さんという記者はアップルストア渋谷に並んでいる間もエイサーのパソコンを使ってくださっており、なんと、北米のアップルストアにiPhone4Sを買いに行った時も、周りがアップルを使っている中、エイサーを使ってくれておりそれ自体がニュースにもなったことがある記者でした。

参考:

北米アップルストアの行列に徹夜で並んでいるときに聞かれまくったこと「なんでエイサーなん?」

そういった背景もあり、「このTMR(ティーエムレボリューション)に似た田代さんという記者にパソコンを届けに行きたい!感謝を伝えたい、というか救いたい!!」と思いました。ただ、届けるなら記事にしてもらわないと広報の仕事としてもNGですし、会社は納得しません。しかも、田代さんが欲しかったのは「MacBookAir」で、届け先は普段から面白いニュースを扱っているロケットニュース。普通に持っていくのもダメだろうと思い、元々の記事にも関連しつつ面白がってもらえるネタを用意しました。

そこで出てきたのが、「MacBookAirに見た目が似ている」と一部で評判だったエイサーのウルトラブック(PC)です。

ネタの用意もできたので、

「TMR似の田代さんに感銘をうけました。ぜひともお礼がしたいです。MacBookAirに見た目が似ていると一部で評判のウルトラブックを届けさせて欲しい。」

というようなニュアンスでロケットニュースにメールをおくり届けさせてもらいました。

すると、感激した田代さんが画像をたくさんいれたテンション高い記事を書いてくれました。

それがコチラです。

8日間並んで買ったアップル福袋にガッカリしていたらAcerがMacBook Air似の最新ウルトラブックをくれたでござる

(リンク記事も読んでみてください)

この記事がお正月の記事につづいて話題になりました。SNSの反応は、「記者さん良かったね!」という反応から、「エイサーさんカッケー」や「あえてステルスしないぜマーケティングいいね!」など、エイサーにとっても嬉しい反応がたくさんありました。

この事例は、アップルストアの福袋という競合のニュースにのっかり、ロケットニュースという面白メディアにのっかった事例です。

ただのっかるだけでなく

・MacBookAirに似ているとエイサーみずから言っている

・元々が福袋の話なのでノベルティでオリジナル福袋を作る

など、ネタになりそうなものを用意したことや、本当にお礼を言いたかったので送るのではなく直接届けさせてもらったことが良かったのではないかと思っています。

いかがでしたでしょうか?次回も引き続き心得と事例を一緒にご紹介していく形式で進めていこうと思いますのでお付き合いよろしくお願いいたします。

ちなみに、この話には続きがあります。

僕が説明するにはちょっと恥ずかしい話でもあるので記事というかタイトルを読んで察してください。

【悲報】ロケットニュース24に MacBook Air 似のパソコンをくれた当時Acerの凄腕広報・砂流さんが無職に / ハローワークに通うところを発見

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