忙しい日々の中で、ひと時の息抜きとなるお茶。
ホッとひと息つきたいときだけでなく、眠れないときの安眠サポートとして、ハーブティーを生活に取りいている方も多いでしょう。
今回はハーブとアロマの専門店「生活の木」のハーブコーディネーター・佐々木薫さんに、安眠をサポートしてくれるハーブティーについてお話を伺いました。
安眠=カモマイルというイメージがありますが、安眠ケアに役立つハーブティーはそれ以外にも。
これからハーブティーを試してみる方は、佐々木さんおすすめの安眠ハーブティー10選をまず参考にしてみては?
■よい香りと効能をもつ"お茶"ハーブティー
よい香りと暮らしに役立つ効能をもつ植物の呼び名である「ハーブ」。このハーブを使って作るお茶がハーブティーです。
ハーブティーのおもな効果には、安眠にも役立つリラックス、強壮作用、鎮静作用、消化促進など。
ハーブティーの効果は、基本的には即効性があるというより、ゆるやかなものだと、佐々木さんはいいます。
「ハーブティーはあくまでも薬ではなくお茶なので、リフレッシュ、眠気覚ましなどを別にすれば即効性はありませんが、飲み続けることで穏やかに体質を改善していけます。たとえば、常にコーヒーを飲んでいて胃を痛めている人が、コーヒーをハーブティーに変えると、コーヒーの量が少なくなり、かつハーブティーでバランスを整えていくことができますね」(佐々木さん)
ハーブティーといわれるもので、一般的な馴染みのあるものとしては、安眠に役立つカモマイル、ペパーミントやローズヒップなど。最近ではルイボスティーやマテ茶なども、より効能の高いハーブティーとして、注目されています。
■ハーブティー、どうやって飲む?その楽しみ方とは
ハーブティーはとにかく種類が多く、1種類のハーブを楽しむハーブティーと、ベースになるお茶に複数のハーブがブレンドされたハーブティーがあります。ブレンドされたお茶を含むと数えきれないほどのものになるとのこと。
ブレンドタイプも非常に多いハーブティーですが、実はこのブレンドこそがおいしくする秘訣。より飲みやすくおいしくなり、また、ハーブは相乗効果が高いといわれていて、ブレンドすることで、いっそう高い効果が期待できるのだそうです。
たくさんあるハーブティー、どれを飲んだらよいか迷ってしまいそうですが、ハーブコーディネーターの佐々木さんが教えてくれた自分に合ったお茶を見つける方法は、ずばり「好きな香り、好きな味のものを飲むこと」だそうです。
「お茶は楽しく飲むのが一番。不思議なんですが、その人の好みに合うものは、飲んだ瞬間に『あ、効くー!』と感じたり、すごくホッとしたり、肌につけても心地よかったりする。だから、いろいろと試しながら自分に合ったものを探したほうがいいですね」(佐々木さん)
合うお茶を探すため、ハーブティーのお店であれこれ香りを試してみるのもよいでしょう。それで、もしも「これ」というものが見つからない場合は、自分でいくつか混ぜてブレンドするのもよし。
ブレンドと聞いて難しく感じる人も多いと思いますが、佐々木さんいわく「基本的には、混ぜていけないものはない」そう。
一般的に売られているハーブティーをお料理と同じ感覚で、好きなように混ぜてみることで、自分にぴったりのハーブティーが出来上がることもありますよ。
■体調に合わせてトライ!安眠におすすめのハーブティー10選
仕事柄、お客様からハーブティーの選び方について相談を受けることも多い佐々木さん。
中でも、一番多く聞く悩みは、Fuminners(フミナーズ)ユーザーのみなさんと同じ「眠れない」だといいます。
不眠の症状は病院に行くほどのものではなく、かといって薬を飲むのは抵抗があるので、そういうときに「何か手立ては」と、安眠をサポートしてくれそうなハーブティーやアロマを頼る方が多いのだそうです。
不眠の原因はさまざま。ストレスで眠れない場合もあれば、胃もたれや風邪など、体調不良で寝つけない場合もあるでしょう。
今回は、そんないろいろな不眠の原因を考慮し、安眠におすすめのハーブティーをランキング形式で佐々木さんにセレクトしていただきました!
【就寝前のハーブティーベスト10】----------------------------------------
●第10位...マロウ
ウスベニアオイと呼ばれる紫色のハーブ。お茶の水色はブルーですが、レモンを入れるとピンクになるという色彩の美しさが楽しめるハーブティー。視覚的にも安眠を誘うリラックスを促してくれます。
●第9位...ネトル
健康にとてもよいハーブとして知られるネトル。鉄分を含んでいるので、貧血気味の人は続けて飲むと体質改善ができます。また、抗アレルギー効果もあり飲んで花粉症の症状が出なくなったという人も。
●第8位...ペパーミント
清涼感のある香りで、リフレッシュ効果があるペパーミント。消化をよくしてくれるので、胃もたれしているときにおすすめ。風邪をひいたときの鼻づまりにも効果があります。ペパーミントだけだと、香りが強すぎる場合もありますが、実はカモマイルと非常に相性がよいので、ブレンドするのもよいでしょう。
●第7位...パッションフラワー
パッションフラワーは、果実を利用するパッションフルーツと同じトケイソウ科の仲間で花・葉を利用します。鎮静作用が深いハーブティーです。
●第6位...レモングラス
ハーブにはレモン系の香りのものもたくさんありますが、どちらかというとシャープな香り。消化促進の効果があり、食後に飲むのにおすすめなお茶ですが、おやすみ前にもいただくのもよいそう。
●第5位...レモンバーム
こちらもレモン系のひとつ。鎮静作用があり、心臓によいといわれています。
●第4位...オレンジブロッサム
ビターオレンジの花のつぼみのハーブティー。鎮静作用があり、深いリラックスを導いてくれます。一説では、オレンジの花は心臓によいという話も。
●第3位...ローズ
気分を明るくする作用があるバラの花びらのお茶には、鎮静効果があります。バラの花びらのサシェを枕の下にしのばせておくと、ほんのりとしたバラの香りで心地よく眠れることも。いい香りで安眠できれば夢心地ですね。また、食物繊維が含まれ、便秘解消の効果も期待できます。
●第2位...リンデン
西洋菩提樹のリンデン。発汗作用があり、風邪をひいたときにもよいリラックス効果の高いハーブです。西洋では街路樹として街中でよく見られる美しい樹。海外ではリンデンのお茶は「おばあちゃんの知恵」という感じで、家庭で飲まれるお茶だそうです。
●第1位...カモマイル
第1位はハーブティーの代表選手・カモマイル。鎮静効果や発汗作用もあり、身体を温めてくれるので安眠をサポートして眠りやすくなるはず。また、消化促進作用もあり、食べすぎた日に飲むと胃もたれをやわらげてくれます。
他のハーブとブレンドしてもおいしく、毎日飲んでも安全なことから、常用するファンも多いまさにハーブティーの定番。ジャーマンカモマイルとローマンカモマイルの2種類がありますが、ジャーマンカモマイルは甘味があり、リラックス効果が高くおすすめです。
種類によって効果もさまざまなハーブティー。できれば、「眠れないから、安眠にはカモマイル」などのように決めてしまわず、風邪気味のときはリンデン、貧血気味のときはネトル...などのように、体調によってハーブティーを変えると、より楽しくかつ効果をきちんと感じることができるでしょう。
■こんなハーブティーの楽しみ方も
ハーブティーの楽しみ方、まだまだあります。お茶の時間はリラックスできる素敵なひととき。それだけにおいしいお茶を飲みたいものですよね。
おやすみ前の安眠を促すハーブティーをよりおいしくいただく方法を佐々木さんが伝授してくれました。
・冷たいものよりは温かいものを
暑い日だと、寝る前でもつい冷たいお茶などほしくなるかもしれませんが、身体を睡眠に向けて落ち着かせるためにも、ハーブティーは温かいものをいただきましょう。
・ホットミルクでいっそうおいしく
実はミルクとも相性が良いハーブティー。ミルクを入れると香りがなくなるのでは?と気にする方もいるかもしれませんが、心配ご無用。ミルクにハーブの香りが移り、お茶にホットミルクの甘みが加わることでよりいっそうおいしくなるんです。カモミールミルクティーもおすすめ。身体も温まるので、安眠を期待する就寝前におすすめのアレンジです。
・目覚めもすっきり
ハーブティーは安眠のためだけでなく、朝にいただくのもよし。すっきりリフレッシュしたいときにもおすすめです。佐々木さんに目覚めにおすすめのハーブティーも教えていただきました。
●朝におすすめのハーブティー
・レモンバーベナ
...さわやかな香りでリフレッシュさせてくれます。
・ハイビスカス
...酸味が強いので、夜よりは朝の眠気解消におすすめ。クエン酸や有機酸も含まれているので、お昼のリフレッシュにもおすすめ。
・ローズヒップ
...ビタミンCが非常に豊富なハーブティー。疲労回復の効果があります。夏の日焼けに対する内側からの効果も期待できます。
ハーブティーはあくまでお茶なので「これを飲んで眠ろう」「これで安眠できる」と狙うのはちょっと少し難しいかもしれません。
けれど、就寝に向けた時間に、リラックス効果や鎮静作用のあるお茶を習慣にすることで、「このお茶の香りで眠くなっていく」といったリズムを作ることができます。うまく使えば安眠をサポートしてくれます。
自分に合った自分好みのハーブティーを生活に取り入れれば、体調もゆったりと整えていくことができるので、おやすみ前の習慣として非常におすすめ。「入眠儀式」にもなるかもしれません。
ゆったり眠りたい夜は、安眠を促すおやすみ前のハーブティー。あなたも一杯いかがですか?
Fuminners 2016年9月7日の記事より抜粋