IoT、AI(人工知能)、VR(仮想現実)など生活や未来をよくするテクノロジーをひも解こう、その根幹にあるエレクトロニクスについて語ろうというイベント、「いまだからエレクトロニクス、変わるエレクトロニクス!「テクノロジー・ネットワーク」キックオフセッション」の開催に向け、背景をご紹介します。
- テクノロジーは生活のなかで誤解され続けている
そもそもテクノロジーとは、前史から続く幅広い"知識の実用化"を示す概念として20世紀のアメリカでソースティン・ヴェブレン、リード・ベインなどが体系化したものと言われています。それが1940年代にコンピューターが生まれて以来ネットワークにつながって情報システムを構築し、インターネットの発達、普及とともに情報技術(IT)と呼ばれ、スマートフォンという形でインターネットを手のひらに入れて情報メディアをパーソナライズし、社会のすみずみに埋め込まれたセンサーやと連動してモノのインターネット(IoT)を発展させています。
7月にデジタルハリウッドで開いた出版記念講演を開いたケヴィン・ケリー氏は、著書『インターネットの次に来るもの』のなかで「生活のなかのあらゆる目立った変化の中心にはテクノロジーがある」「テクノロジーは人間性を加速する」と述べています。
そのおかげでわたし自身、この20年ほど、主にIT市場で、企業内(インハウス)および代理店(エージェンシー)の立場から、企業コミュニケーションのなかでも公共性・社会性にてらした報道を推進するパブリシティ、そして信頼の構築、強化を促進するPRの領域を担当してきました。これまで何十社か担当してきましたが、視点が表層的になりがちという自戒とマーケティングを俯瞰したいと考えから、この1年あまり次世代マーケティングプラットフォーム研究会のボランティア運営委員を務め、先月の第9回総会にて国際平和という難しいテーマに取り組みました(レポートは別記)。
この会の布石となった来場者アンケートでひとりの女性デジタルマーケターは、コトラー教授への質問として「戦争を終わらせ世界平和になるマーケティングはありえるか?」と書いた理由を、「これだけテクノロジーが発展してきたのをみて、マーケティングで世界平和が実現できるんじゃないかと思ったから」と話してくれました。その指摘の鋭さを、World Marketing Summit Japan 2016でフィリップ・コトラー教授が述べた、"すべてのビジネスが価値創造、調査分析、技術革新、営業流通、戦略、組織、社会性を網羅するマーケティングが必須"、"デジタルテクノロジーなしに企業存続なし"という発言が裏打ちしていました。
しかし2016年の日本では報道関係者から「ITは悪です」といった見方を聞き、事実テレビでテクノロジー関連の企業ニュースがニュースになることは稀です。信頼されるテレビ報道番組の視点から「ITネタは厳しいです」「犯罪だのいじめだの悪はITのせいです」「テレビはそう取ります」と言われるのが現状であり、伝える側が伝え方を改めるべき...という自己課題を感じます。
学生時代から数学がもっとも苦手で理系など一瞬たりとも考えたことがなかった文系出身として、ずっとITビジネスが好きでやってこれたのは、ひとえにテクノロジーの発展のすばらしさを伝えて誤解を解き、テクノロジー変革を促進したいという思いからです。そこで、不可避とされるテクノロジー変革に向けて、そこへ向かう個々人の行動変容の役に立つコミュニケーションの橋渡しをしよう、とテクノロジーを切口にしたネットワーキング、イベント企画を考えました。これがテクノロジーをマーケティングする端緒です。
その第一歩として、まずはITの根源といえるエレクトロニクスをテーマに、「いまだからエレクトロニクス、変わるエレクトロニクス!「テクノロジー・ネットワーク」キックオフセッション」を開催します。
日程は奇しくも2016年10月31日(月)、ハロウィンの夜。銀座の熱気に負けない盛況な会となるよう祈りたいと思います。登壇者のプロフィールは別記したのでご参照ください。一緒に勉強して語りましょう!お待ちしております!
(2016年10月13日「コウタキ考」より転載)