長い間やろうと思っていても、
なかなか実行に移せなかったこと。
それが撮りだめた家族の日常映像を編集して、
ひとまとまりの記録にすること。
まずは祖母に関するところだけでも...と決心して、
数年前から仕事の合間に少しずつ作業をして、
去年の夏、一応完成した。
以下は、そのときに記した文章です。
がんとの闘いを何度も克服し、97歳まで生きた祖母。
完成したVTRは、
祖母が90歳のときの正月から始まり、
97歳でこの世を去るまでの7年間の話だ。
その間に生まれた、
うちの子どもたちの素材も組み込んだ。
撮影舞台は、ほとんどが実家。
シーンも私どもが実家を訪れる盆と正月が大半だから、
当然、似たような場面の繰り返しになる。
ところが、実際に映像や写真を時間軸で見ていくと、
毎年の繰り返しだからこそ、
「そうなのか...」
と合点するところが多々あった。
当然ながら祖母は年々、老いていく。
"老いが深まる"といった方が適切かもしれない。
けれども、
「生きよう!」
「生き切ろう!」
とする意思は健在で、
末期がんで死の淵に瀕したときも、
70年間連れ添った夫(祖父)と死別したときも、
祖母は強い意志でその都度、奇跡的な回復を遂げた。
もちろん歳が歳だから、顔に刻む皺は年々深くなるし、
幾度となく繰り返される玄関をでる様子は、
一人でスタスタ歩いている姿から、
家族の誰かに抱えられて移動する姿へと変わっていく。
けれども、それは単なる身体的な老いでしかないようで、
祖母の老いと反比例するように、
年々成長するひ孫たちに接しては、
祖母は自身の中にある、
「生きる力」を再確認していたように思える。
家族の中に高齢者が存在していること。
自宅とケアハウスを行き来する祖母の生活。
そんな祖母の生活を支える父や家族の日常。
話を少し一般化してみると、
当時のあの家には、
「在宅介護」や「老老介護」、「施設と自宅」...等々の問題が、
すべて当たり前に存在していた。
その上で、家族や親族が高齢者を敬い、ともに日常を生きる。
もちろん、介護する側の負担は大きい。
実家にいる家族たちの苦労は並大抵ではなかったはずだ。
でも、だからといって特別なことをする訳じゃない。
明るく楽しく...
どんなときでも...いつも通り、普段通り。
そんな「いつも通り」がどれほど大切で、
どれだけ掛けがえのない時間だったことか。
懐かしいというより、尊い。
さて、現実的な編集作業はといえば、
これが思っていたより大変だった。
7年間とはいえHi-8やDVの映像が、テープで約40本分。
その中から祖母にまつわる部分だけを抜きだす。
もちろん写真もたくさんある。
そんな素材を時系列にそって忠実に並べていった。
ナレーション原稿を読んだのは娘(現在、大学生)。
彼女が生まれたとき、祖母は94歳。
当時の記憶なんてないだろうけれど、映像は雄弁だ。
きっと彼女なりに「なにか」を見つけたはず。
結局、1時間15分ほどの「記録」になった。
それ自体は極めて個人的なものだけれど、
先に触れたように見ようによっては普遍的でもある。
だから、
今回再編集してブログにアップすることに...。
とはいってもネットで見る動画としては、
さすがに1時間15分は長い。なので全体を40分ほどに短縮。
さらに「上」「中」「下」と、
約15分ほどの動画、3本に分けました。
ひとつの「家族のかたち」として眺めて頂ければ幸いです。
興味のある方は、
時間のある時に、
一本ずつご覧ください。
Hana's Life~ハナばあちゃんと子どもたち(上) ↓
Hana's Life~ハナばあちゃんと子どもたち (中) ↓
Hana's Life~ハナばあちゃんと子どもたち (下)↓