「こども哲学」は子どもの意見を聞き入れられない大人に今すぐ役立つ

子どもの意見を聞く耳をもった大人が一人でも増える社会を実現したい。
Yohey Kawabe

7月25日、ワニブックスから拙著「自信をもてる子が育つ こども哲学」が発売される。子どもの意見に耳を傾け、子どもの人格を尊重することの大切さに気づいた大人たちの声を集めたインタビュー書籍だ。

「こども哲学」は哲学対話と呼ばれる、おたがいの意見を聞きあい、自由な意見を言い合う対話活動だ。100年以上の歴史があり、今年から道徳の教科書にも載っている。もはや知らないのは大人だけだ。

「こわい」「痛い」「暑い」「いやだ」「苦しい」「助けて」「疲れた」「つらい」生まれたときから子どもたちはいつだって、自分の気持ちを声で、表情で、動作で、大人に伝えている。

子どもは、大人に比べて、自分の意見を伝えるのがとても上手いのだ。しかし、大人にはある理由があって、子どもの声が聞こえないことがある。

大人が子どもの意見を聞き入れにくい理由は2つある。ひとつは、今の大人たちが子どもの頃に「我慢しなさい」と言われたこと。もうひとつは、今の大人には、昔の大人よりも、余裕がないということだ。

だから、子どもの声を聞き取れなかった大人を責めても仕方がない。しかし、「子どもの意見を聞く方法」を具体的に伝えることには意味ある。

子どもの意見を聞く方法はとてもカンタンだ。子どもが意見を言ったあとに「なるほど」と相づちをうつ。「そうだね、じゃあどうしようか」と子どもと相談するだけだ。

「甘えるな」とか「生意気だ」とか「我慢しろ」とは言わない。「そんなことじゃ社会に出てから苦労する」なんてもってのほか。子どもが出ていく社会とやらを、今すぐ少しでもよくするのが大人の仕事だ。

私はもう大人になってしまったので、子どもの声を代弁するつもりはない。子どもの意見を聞く耳をもった大人が一人でも増える社会を実現したい。

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