米国発の電動乗り物5選!交通システムを再考する機会

私はメイカームーブメントへ焦点を当て、世界のモノづくりベンチャーとの交流・執筆を重ねている。今回はまず、その中から5つの電動乗り物を紹介したい。

私はメイカームーブメントへ焦点を当て、世界のモノづくりベンチャーとの交流・執筆を重ねている。今回はまず、その中から5つの電動乗り物を紹介したい。

1つ目は、Lit Motorsの倒れない電動バイク「C-1」である。車体に搭載された2基のフライホイール(自転回転する物体)が、転倒を防止する設計だ。このジャイロ(物体が自転運動をすると姿勢を乱されにくくなる現象)安定システムを利用することで、たとえ自動車が横から衝突しても大きな危険は生じない。最高時速は160km、フル充電で320kmの走行が可能。2014年のショールーム登場を目処に、1万2000ドルまでのコストダウンを目指している。

2つ目は、スタイリッシュな電動自転車「Faraday Porteur」である。アルミ・木材の素材が随所に組み込まれている「Faraday Porteur」は、45分の急速充電で16~24km走行可能。オレゴンマニフェスト・自転車デザインコンペにおいては「the ultimate modern utility bike」という高い評価を受けている。価格は3500ドル、2013年夏より販売開始される予定だ。

3つ目は、電動スケートボード「Boosted Boards」である。重量は5.4~6.8kgであり、世界最軽量の電動乗り物となっている。価格は1300ドル、2時間充電すれば9.6kmの走行が可能で時速32kmまで出る。無線リモコンから電動モーターを操作することで、加速・減速・停止も思いのまま。たとえスケートボード初心者が下り坂に出くわそうとも、こわい思いをしないで済む。

4つ目は、電動一輪バイク「RYNO」である。最高時速は40km、1回の充電での走行距離は約80km。設計上、「RYNO」は自転車用駐輪場に停められるため、駐車料金が掛からないという魅力を持つ。動作はセグウェイに似ており、搭乗者の体重移動によって約63cmのタイヤが動く。価格は2250英ポンド(約3370ドル)、2013年8月の発売を予定している。

5つ目は、Tesla Motorsの高級電気自動車「MODEL S」である。「MODEL S」は、米自動車専門誌「モータートレンド」による「2013年カーオブザイヤー」を受賞。今年の第1四半期においては、メルセデス・ベンツのSクラス、BMWの7シリーズなどの売り上げを上回っており、その人気は止まる所を知らない。

これら5つの電動乗り物は、生まれ故郷が非常に近く、「C-1」「Faraday Porteur」「Boosted Boards」はサンフランシスコ、「RYNO」はポートランド、「MODEL S」はシリコンバレー界隈だ。そんな中、いま私が最も注目しているのは「C-1」である。

「C-1」は全体を屋根で覆うカプセル形状をとっており、強化ドア、シートベルト、エアバッグを備えている。そのため、一般的なバイクのように強風で化粧が崩れる心配もなく、運転に不慣れな女性も安心できる。定員は運転者含め2名、都心部へ通勤するには非常に便利でスタイリッシュな乗り物となる。

現代の交通システムは多様性を踏まえて、知的な進化を遂げていく必要がある。交通渋滞、限られた駐車場、大気汚染、都市のスプロール化(無秩序な拡大)などの問題に対して、「C-1」のようなシティコミューター(city+commuter:主として都市内の移動や近郊からの通勤に使われる小型乗用車)は、環境に配慮した交通ソリューションとなるだろう。乗り物の"電動化"というパラダイムシフトは、将来の交通システムを再考する良いきっかけを与えてくれる。この機会に再発明された乗り物が、持続可能な未来の一翼を担っていく。そう期待している。

なお、各製品の更なる詳細情報は下記ブログ記事にて。

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