都知事選のネット選挙は? ~データ分析から考察~

ネットでのアピールが加熱する陣営をよそに、比較的おとなしく活動(ネットでは)されていた舛添氏の当選は、ネットの影響力に期待を寄せている方々の間では、残念だったという意見も目立ちます。結果がしめすように、「ネットの影響力だけで選挙に勝てるほど甘くない」という一言につきるかと思います。

結果はみなさんご存知の通り、舛添氏の圧勝となった東京都知事選挙。都心では45年ぶりに25センチを超える積雪となり、その影響で投票率の低下につながったとも言われています。

ネットでのアピールが加熱する陣営をよそに、比較的おとなしく活動(ネットでは)されていた舛添氏の当選は、ネットの影響力に期待を寄せている方々の間では、残念だったという意見も目立ちます。

結果がしめすように、「ネットの影響力だけで選挙に勝てるほど甘くない」という一言につきるかと思います。知名度や強い組織、強い地盤が重要であることは変わりません。だからこそ、リードしていた舛添氏はネットでは比較的おとなしく活動し、追いかけるライバル陣営は、より力を注いでいったのでしょう。

ネット選挙は従来の選挙手法に加わった産声をあげたばかりのツールであり、それらをどのようにして協力させていくのがベストなのか、熟慮し挑戦し続けていかなければなりません。

いくつかデータ分析とあわせて、勝手に考えをめぐらせて見たいと思います。

● 伸びなかった細川氏

下にあるグラフは、1月20日~2月8日(選挙戦最終日・投開票日前日)期間のインターネット上でのニュースに取上げられた候補者割合です。

1月20日当初は、細川氏の話題が大きな割合を占めています。

知名度という点では申し分ない(若年層には知られていませんが)ですし、小泉氏という強力な援軍を得て、大きな期待を寄せる状況でした。彼らが争点化とした原発問題は、Twitter上では大きな露出を見せていきます。(原発争点化に関しては宇都宮陣営の影響も含まれます)

当初の選対本部(分裂の前)のインタビュー記事では、「地上戦はやらない、ポスティングも電話かけもローラーもやらない。ネット選対のみ」といったような発言も見かけます。ネットだけで勝てると思っているわけではないと思いますので、その拡がりを利用しておおきなうねりを想定していたのではないでしょうか?

しかしながら、この原発問題は、ネットよりもっと大きな影響をもつテレビでの露出で、オリンピックや災害対策といった話題よりも小さかったのも事実です。

※ 一部データ取得できず

選挙期間に入ると、報道では候補者を公平に扱いようにしていきます(この点を疑う方もいらっしゃいますが・・・)ので、この"ワンイシュー"が取上げられることも少なく、また大きなうねりを出すことには繋がらなかったのではないか?と考えることも出来ます。

宇都宮陣営との関係性も大きなポイントであったとも思いますが、細川陣営にとって調査やデータ分析をもとにしたイシューや戦略の見直しが必要だったのかもしれません。(すでにやっていたかも知れませんが)

● Twitterでは田母神氏が優位だった

下にあるグラフは、1月20日~2月8日(選挙戦最終日・投開票日前日)期間のTwitterでの候補者の露出割合です。

本人アカウントでのツィートの種類をみていくと、投稿数が最も多いというわけでもありません。

さらに、RTされた数も他を大きく引き離しています。

前回のブログ記事でも紹介しましたが、Twitterでは最も影響力があったと思われます。

ではなぜ当選できなかったのか?というのは前述の通りですが、むしろこのネットでの影響力がなければもっと得票数は少なかったのかもしれません。そういう見方もできるかと思います。

● 家入氏はどうだったのか?

ネットを主戦場に戦った家入氏ですが「やっぱり泡沫だった!」との意見が散見されます。「善戦した!」という意見もあり、家入氏のパーソナリティについてや、選挙の準備が足らなかったとか、もう少し従来の選挙(街頭演説しかり)をやっていればとか、たらればを言い出したらきりが無いのですが、今後発表される年代別の得票数などを見てもう少し分析してみたいと思います。

しかしながら、彼が今回の選挙で行った「クラウドファンディング」や「政策を集める受信型のネット選挙」という手法や良くも悪くも数々の新しい企画は参考にする点は多く、ネット選挙のバリエーションが増えたという点は評価すべきだと思います。

もちろんこの手法が今後全ての候補者にとって有益だとは思えません(候補者のパーソナリティによって変わる)が、新しい挑戦から学びを得て、今後のネット選挙運動の進化に繋がっていければと思います。

ちなみに、この選挙期間中は私どもにもたくさんのご意見をいただきました。一部回答させて頂きます。

質問)どの候補者に加わっていたのか?

回答)オファーは複数の陣営からいただきましたが、結果どこにも属しませんでした。

質問)データはどうやって集めているのか?

回答)今回は、2013年12月9日に東証マザーズに上場をはたしたホットリンクさんのソーシャルビッグデータ分析ツールを利用しています。お問い合わせは株式会社ホットリンク「クチコミ@係長」へ

質問)分析結果などを知りたい

回答)この都知事選の分析は、あと数回にわたってブログでも紹介する予定です。

また、政治家および関係者の方向けのセミナーも順次開催予定です。お問い合わせフォームよりご連絡いただければと思います。

注目記事