生死の境をさまようとは言わないまでも、突然の事故で身体の自由を奪われることがある。
今まで出来たことが出来なくなり、どんなに情けない思いをすることか。
寿命があれば死ぬことも出来ず、健常な身体の人々のことがどれほど好ましいことか。
平成23年3月に東日本大震災に見舞われ、その前の年にお父さんも亡くなって、こんな苦労を背負うくらいならいっそ震災の時に命を奪われたほうが楽だったかもと、一瞬思った。
あれから足かけ七年。今85歳の私は老いと衰えに悩まされ、毎日をやっとの思いで過ごしている。
しかし、85歳になった今まで、本気で死にたいなどと思ったことは一度もない。
どこかで折り合いを付け、諦めながら、努力すべきところは努力しながら生き延びている。
死にたいと思っている若い人たちへ、85歳の私から伝えたい。
急ぐなかれ。死は同等に訪れる。
死にたいなどと思っているはずがない人たちに、無情にも死はやってくる。
命とは、あなた一人のものではないことをまず考えてみてほしい。
成長するごとに友もでき、自分を主張し表現する場は必ずあるはず。
自分を活かせる場を見つければ、毎日が楽しく過ごせるはず。
生を享けたということが、どれほど尊いことか、しっかりと見つめ直してほしい。
もちろん、死にたいと思うほど辛いことも苦しいこともあるだろう。
それでも、かりそめにも死にたいなどと言うなかれ。
あなたたちの知らない戦争があった時代、赤い紙一枚であたら青春の命を国のために捧げた人たちがいる。
原爆が落とされ、戦争は敗れて終わった。それらの犠牲の上に、今の日本の平和がある。
戦後七十余年、いつまた何が起こるか解らない。自然災害で命を奪われることもあるかもしれない。
せっかくの命を大切に。誰かのためでなくても良い。
自分のために生きることを努力してほしい。
耐えることも必要かもしれないけれど、己の命に誇りを持ってほしい。
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