ここまで出来るってSNSの可能性はクレイジー過ぎますねー!
ユニバーサルミュージック傘下のレコード・レーベル、ユニバーサル・リパブリック・レコードは、ショートビデオ投稿SNSのVineで楽曲をアップし続けたフォークポップの二人組「Us」と契約を結びました。Vineを活用したアーティスト活動を実施したアーティストがメジャーレーベルと契約するのは、世界初めてのケースです。
6秒動画SNSから全米テレビ中継、そしてメジャー契約
MichaelとCarissa Alvaradoの夫婦デュオは、2013年にセルフリリースした最新アルバム『No Matter Where You Are』をYouTubeを活用してプロモーションを開始、カバー曲をアップするなどして注目を集めますが(総再生回数1800万回、購読者数30万人)、存在感を示すまでには至りませんでした。そこで2人は別のアプローチ方法を模索し始めます。
2013年11月にUsはショートビデオ投稿アプリVineに注目し、自分たちのアカウント「@UsTheDuo」でハッシュタグ「#6SecondCovers」を付けて6秒のカバー曲やオリジナルを投稿を始めました。投稿開始後、ジョン・レジェンドの『All of Me』やQuad City DJsの『Space Jam』といったカバーがVine上で注目を集め始め、やがてre-Vineされる回数がゆっくりと着実に増えて行きました。
その後も継続してVineに動画を投稿していきます。そして12月半ばに投稿したThe Neighbourhoodの『Sweater Weather』のカバーが、Vineフォロワー数490万人を持つJerome Jarreなど人気Vineユーザーの目に止まりre-Vineの回数が爆発的に増加しました。
そしてVineで注目を集めたことによって、次はBuzzfeedやBusiness Insiderなどバイラルメディアやオンラインメディアでも紹介され、Usの認知度がさらに増加し、1月末にはフォロワー数150万人を超えるまでに注目を集めます。
さらにVineやオンラインメディアで注目を集めたことによって、今度はアメリカの人気朝番組「Good Morning Amerca」に生出演しライブを披露するまでに至ります。
現在Usのフォロワー数は270万人を超え、そして現在でもほぼ毎日動画投稿を続けています。
彼らはVineで注目されるためにUsのVine動画を見ればお分かりだと思いますが、大抵映っているのは顔の下半分だけ。これも二人の戦略で、二人のルックスに注目されることよりも、二人の歌唱力に注目してほしいからという理由があって実施したそうです。
ユニバーサル・リパブリックのA&R担当上級副社長のネイト・アルバート (Nate Albert)は、
彼らの活動には、普遍性があり、その可能性は無限大だと感じます。
とコメントします。
3月18日に合意した契約内容は、『No Matter Where You Are』を今春に再リリース、楽曲の再ミックス・ダウン、そして新しいPV制作と先行シングルのリリースの準備と、二人だけで活動していた時には実現不可能な規模のサポートが盛りだくさんです。
面白いのは、Usとユニバーサル・リパブリックによる初めてのミーティングでは、時間の半分がVineの説明に費やされました。またUsはミーティングで、「毎日新しいカバー曲を投稿する」、「毎回違う服装をする」 などUsが成功した要因も明かしました。 Usはその他のレーベルともミーティングを持ったそうですが、結果的に最初にコンタクトを取り、最もアクティブだったユニバーサル・リパブリックと契約しました。
Michael Alvaradoによれば、
ユニバーサル・リパブリック側がレーベルショーケースへの参加を依頼してきた。物凄く驚いたね。だけど彼らはVineアプリについても相談にも載って欲しいと言ってきた。彼らはVineを他のアーティストにも使うことができないか、すごく関心があったみたいだけど、彼らが僕たちの音楽や僕たちの活動に興味があることは明らかだったよ。
(ユニバーサル・リパブリックの取締役副社長のチャーリー・ウォーク (Charlie Walk)は)、これまであった中で、最もクリエイティブな人だね。ミーティングが始まって30分以内で20個のアイデアが生まれたんだ。早く実行したくて堪らないんだ。一緒にアイデアを出し合って何かを作る感じがたまらなく楽しいよ
とユニバーサル・リパブリックの印象についてコメント。
これまでもジャスティン・ビーバーやKarminがYouTubeからブレイクするキッカケを作るなど、ソーシャルメディアは次世代のスターを輩出し発掘するプラットフォームになっています。Usの成功は、VineがまたYouTubeなどと同じように新人ミュージシャンや無名のミュージシャンが作品をPRし、レコード会社やブランドに認知してもらうチカラを持ったソーシャルメディアであることを証明しています。
これをご覧になったミュージシャンやマネージャーさんは「すげー!!!」とか「やっぱ海外だなー」と思われるか、「俺も明日から何か始めるぞ」と思われるかは気になるところです。Usのやっていることは、アプリとカメラがあれば誰でもできることなので、他人ゴトで終わらせてしまうのか、自分にもできることとして考えられるか、本当にアーティストのプロモーションを考えているなら、考えてみる価値はありますよ。
デジタルといえば、TwitterやFacebook、YouTubeと定番のSNSに飛び付きがちですが、本当にそれが最善の選択肢なのでしょうか?わずか6秒だけでもフル尺視聴のYouTube以上にプロモーションができることもあります。ユーザーをどれだけ楽しませられるか、のアイデア次第では、ミュージシャンができることの可能性は今後もどんどん広がるはずです。
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