今季11勝目を懸け、8月最初の登板となるインディアンス戦に先発したレンジャーズのダルビッシュ有。7回1失点と好投したが、リリーフがリードを守り切れず、レンジャーズは延長12回サヨナラ負けを喫した。
レンジャーズはこの日、1回表に幸先良く3点を先制。ダルビッシュは2回、昨年までチームメイトだったデイビッド・マーフィーにタイムリーを打たれ1点を失うが、その後は安定したピッチングで7回を投げ切った。
しかし11勝目が目前となった9回、再びマーフィーがネフタリ・フェリスから同点2ランを放ち試合は振り出しに。最後は延長12回、今年のオールスターにも出場したマイケル・ブラントリーがサヨナラ本塁打を放ち試合を決めた。
試合後の現地メディアには、好投するも勝星に恵まれないエースに、もはやお馴染みの見出しが踊った。MLB公式サイトは「ダルビッシュの素晴らしいピッチングをレンジャーズが台無しにした」(MLB公式サイト)。
また『NBC』電子版も「ダルビッシュのピッチングが無駄になった」と題した記事で「ダルビッシュが先発した試合でレンジャーズは13勝8敗。チームのエース、ましてやリーグトップ5のピッチャーが投げる試合としては望ましくない数字だ」と論じた(NBC電子版)。
レンジャーズは5日時点で、メジャー最低勝率の43勝69敗。最近42試合では8勝34敗という負けっぷりだ。地元紙『ダラス・モーニング・ニュース』は「このペースだとシーズン100敗を超えるかもしれない」と嘆いている。
7月31日のトレードデッドライン直前、ア・リーグでは投手の大型トレードが相次いだ。レイズのデイビッド・プライスがタイガースへ、レッドソックスのジョン・レスターはアスレチックスへ移籍。両者共に、プレーオフ争いから脱落しつつあるチームから、ワールドチャンピオンの本命チームへと移った。
日本では未だネガティブなイメージもあるトレードだが、メジャーではこのように低迷するチームのスター選手が強豪チームに"栄えある移籍"を果たすケースが少なくない。トレードで心機一転し、パフォーマンスが向上するケースも多々ある。
プレーオフ争いから完全に脱落し、来季以降に向けての再建モードに入っているチームにおいて、文字通り孤軍奮闘しているダルビッシュ。他球団のエース級投手が相次いで環境を変える中、目標を失ったチームで投げ続けるエースはどこまでモチベーションを保てるだろうか。
(2014年8月5日「MLBコラム」より転載)