日韓、日中関係は戦後最悪というべき状況にある。一方、韓国、中国の指導者達は安倍首相の靖国参拝を取り上げ、日本との関係悪化は日本に責任があると攻撃の手を緩めない。一方、残念な話であるが日本国内でも中韓に付和雷同して安倍首相の靖国参拝を批判する人も多い。丁度Eurasia GroupからTop Risks 2014が公表されたので、これを参照しながら悪化する日韓、日中関係の背景と今後について考えてみたい。
■ 日韓関係
注視すべきは下記表現であろう。
This will affect US relations with countries around the world, but not equally. The US's closest allies have few options. Mexico and Canada are far too economically integrated with the US to effectively hedge that relationship with other major powers. For Japan, Israel, and the UK, the same is true strategically. They have to make the best of a more worrisome geopolitical environment.
That's not the case, though, for the US's second-tier allies (who increasingly feel like second-tier allies). That's a much larger group, including Germany, France, Turkey, Saudi Arabia, the United Arab Emirates, South Korea, Brazil, and Indonesia. All have governments that consider it unwise to align too closely with the US, and they are preparing to shift their international orientation accordingly.
アメリカにとって日本は中東のイスラエル、欧州のイギリスといった伝統的な友好国同様同盟国としては最重要国の位置付けである。一方、韓国はアメリカに取って第二種同盟国(second-tier allies)に過ぎない。何事においても日本と張り合いたがる韓国の事である。このアメリカの扱いに対しては内心憤慨しているに違いない。
その結果、事ある毎に日本を誹謗中傷し日本の足を引っ張る事で日本と肩を並べ様とする歪んだ行動になっているのではないのか? 韓国にとってアメリカは同盟国であるものの日本の扱いとは大きく違い差別されているとの被害妄想に駆られている可能性も否定出来ない。一方、中国は最大の貿易相手国であるのみならず、「華夷秩序」、「冊封体制」を歴史的に採用して来た国であり、「小中華」を自認する韓国であれば、この陣営に属する事で日本を野蛮、劣った国として見下し、取り敢えず溜飲を下げる事が可能である。
太平洋を挟んでアメリカと中国が対峙しているのが現在の状況である。そして、太平洋の覇権を賭けての米中の力比べは今後も長きに渡り継続する事は覚悟せねばならない。日本は民主主義国家として一定の歴史がある。その結果、同じ価値観を持つアメリカとの連携に深くコミットしている。従って、安倍政権としては今後間違いなく集団的自衛権認可に舵を切り、北東アジアにおける民主主義国間連携の基軸としての役割を果たそうとするはずである。勿論、アメリカはこの事を大歓迎する。
一方、韓国政府の言動を見る限り、中国と対峙する民主主義国間連携のメンバーとの意識は極めて希薄である。寧ろ、日本への嫉妬が前面に出ている極めて未熟な国家という印象でしかない。核とミサイルの開発を進め、何時暴発するか分らない北朝鮮の脅威に関しては只管アメリカに尻尾を振り、一方、旧宗主国である中国の習近平政権が異例ともいえる厚遇や友好関係を強調すれば、直ちに有頂天になり舞い上がってしまう。2014年も韓国はアメリカと中国の間を漂流するのではないか? そうであれば、自国のアイデンティティーの亀裂に苦しむ事になり、国民の不満の矛先を日本に向ける事で安直に処理しようとするはずである。従って、日韓関係の改善は当分期待出来ないというのが私の結論である。
■ 日中関係
Top Risksの第三位に中国が堂々ランクインされている。今後、中国の経済成長は益々鈍化する事が予想される。経済成長が急速であればこそ覆い隠す事が可能であった中国社会の矛盾が顕在化し、放置すれば社会不安を起こしてしまう。PM2.5に代表される環境汚染、都市住民と農民間や漢民族と少数民族間格差、共産党、国営企業幹部腐敗及び不良債権問題は既に充分重篤である。習近平政権はこういった山積した国内の課題に取り組まざるを得ない。
これは別のいい方をすれば、中国共産党は既得権益にメスを入れねば国が持たないところまで来てしまっているという事実である。当然、この事は大きな痛みを伴う事になる。この場合、中国に取ってお手軽な施策(痛み止め)は、安直なナショナリズムに迎合し、国内の不満を抗日運動に向けさせ体制を維持する事である。勿論、中国共産党が解放軍を完璧に掌握しておれば大事には至らない。しかしながら、肥大化した解放軍が日米に対し冒険主義的な行動に出ない保証はどこにもない。その場合は、偶発的な、一定規模の紛争は不可避となる。露骨にいえば、尖閣を武力で以て奪い取り国威発揚を図るという事である。
下記、中国政府による一方的な「航空識別圏」設定に関する記載は印象的である。高まる地域紛争の危険性は中国国内問題とコインの裏表の関係にある事を明記しているからである。従って、中国が国内問題を解決し政治的な安定を得ない限り日中関係の改善は期待出来ないというのが私の結論である。日本が中国の危険な冒険主義を回避するためには自衛隊の増強により防衛力を強化しつつ、集団的自衛権行使認可により自衛隊の運用を効率化するのが正攻法であろう。国内にも安倍政権の右傾化などと批判する人も散見されるが、一度今回参照したEurasia GroupのTop Risks 2014を精読し世界のリスクを俯瞰した上で、中国リスクの深刻さを理解すべきと思う。こういう基本的な努力をしないのは知的怠惰といわざるを得ない。
The party, meanwhile, will try to divert public anger toward foreign targets. The Xi government's first big foreign policy move was to announce an Air Defense Identification Zone in the East China Sea. That's useful for domestic purposes, given that anti-Japanese sentiment runs broader and deeper in China than does any similar sentiment. It also reflects changing security efforts in the region. Should trouble emerge domestically, the Xi government will be much more willing to play up this antagonism--by far the most important source of geopolitical tension in the world today.