2014年、日本が求められる事になるのは「一国平和主義」からの転換

安倍首相の靖国神社参拝から三日が経過し日本社会は本来の平静さを取り戻した様である。前回の安倍首相の靖国神社参拝について、で説明した様に、アメリカからは安倍首相の靖国神社参拝直後に公表されたアメリカ大使館のプレスリリース以上特段の追及はなかった。

安倍首相の靖国神社参拝から三日が経過し日本社会は本来の平静さを取り戻した様である。前回の安倍首相の靖国神社参拝について、で説明した様に、アメリカからは安倍首相の靖国神社参拝直後に公表されたアメリカ大使館のプレスリリース以上特段の追及はなかった。寧ろ、翌日には沖縄、普天間基地の移転決定を手放しで称賛している。

アメリカの狙いは、日本が太平洋を挟んでアメリカと対峙し、拳で決着を付けようとして第二次世界大戦を引き起こした過去に対し安倍首相が反省の言葉を述べる事。そして、引き続き世界の平和と安定のために努力を惜しまない決意表明の再確認であったと思う。今回首相談話でそれがなされた以上、これ以上安倍首相の靖国神社参拝を追及する事はないと思う。後述するが日米には地球レベルで対処しなければならない問題が山積しているからである。

一方、中国は事前に準備したと思われる抗議文の内容を報道官が怒りの演技と共に読み上げ、こういう場合のお約束ともいえる「北京の日本大使を呼び、『強い抗議』の意を伝えた」。本当に怒っているのなら前回の「尖閣」同様暴徒を組織し抗日デモを行うはずであるが、実に静かな週末であった。元々やる積りがないのか、やりたくても出来ないという事であろう。

中国政府は今回もまた暴徒を動員して反日暴動を起こすのであろうか? 仮にそういう事を企画したら、今回はウイグル系中国人が混乱に乗じて「テロ活動」を起こすのではないかと想像する。従って、中国共産党に取ってこのカードは諸刃の剣という事になる。かといって何もやらず、指を咥え傍観していては反日教育を受けた一般国民が黙ってはいない。今回の安倍首相の靖国神社参拝は中国共産党に取って急所の一撃であった気がする。

韓国も静かだ。安倍首相の靖国神社参拝に韓国国民が怒り心頭でデモに参加しているといったニュース映像を見る機会はなかった。韓国国民の気持ちに占めるのは、悪化する一方の韓国経済や、日々の暮らし、将来への不安が大部分で、その他の事を考える余裕は最早ないのであろう。

それでなくても国民の大統領支持率は下がり続け、近い将来不支持率が支持率を上回る展開は確実な状況である。一方、韓国鉄道公社の労組ストライキは長期化する様相を呈して来た。<鉄道スト>冬過ごす石炭も、日雇い雇用も...庶民の生活止まる=韓国との事だが、韓国鉄道公社の様な社会の大動脈が停滞すれば、韓国社会は滅茶苦茶になってしまう。それでなくても停滞している韓国経済にボディーブローの様に効いて来る事は確実である。韓国社会の混乱が経済の停滞を誘発し、結果、朴大統領の支持率が低下するという、「デフレスパイラルの罠」に韓国は陥った様である。

打つ手のない韓国、朴大統領は「安倍首相の靖国神社参拝によって日本は国際社会から孤立する」などと強弁している。今更ながら、この人は自国の「経済」や「金融」に疎いと思う。仄聞するところ、韓国に対するIMFのストレステストが完了し結果が年内公表されるとの事である。想像以上に状況が重篤で、韓国金融市場への早期の資金注入が必要とのIMFの結論ではないのか? 

仮にそういう展開となればIMFは原資を調達せねばならず、隣国であり旧宗主国である日本に対し必要資金の半分程度を出資する様要請するのではないのか? 別段皮肉をいいたい訳ではないが、これは朴大統領の主張する「日本は国際社会から孤立する」とは真逆である。

韓国政府としては安倍首相の靖国神社参拝に抗議するため、来月開催予定の日韓財務相会談を延期する方向との事である。IMFのストレステスト結果にも依るが、韓国政府が韓国通貨ウォンを防衛するためには日本との間に「通貨スワップ」協定を締結するしかない。朴大統領はアメリカに仲介を依頼する積りなのだろが、どうも「頭隠して尻隠さず」的で滑稽としかいい様がない。

中国、韓国に対しては外交のドアはオープンにし、上に述べた様な「ドタバタ」については、結果を期待せずに事務的に間違わない様に処理して行く事が肝要と思う。そして、肝心な事は靖国神社参拝後に行われた談話内容、取り分け「世界の友人と共に、世界全体の平和の実現を考える国でありたいと、誓ってまいりました」を着実に実行する事である。アメリカの日本に対する希望は「日本がアメリカに協力し、世界の平和と安定に目に見える貢献をする事」である。これを日本が着実に実行する限り、アメリカが日本に対し愛想を尽かすとか、或いは日本を見捨てるといった事態はあり得ない。

別の表現をすれば、「2014年、日本が求められる事になるのは「一国平和主義」からの転換」という話になる。日本は戦後アメリカの軍事力にただ乗りし、只管経済的な成功を追及し今日の繁栄を得た。しかしながら、日本だけが平和で、日本人のみが豊かさを享受出来れば良いといった考えでは、これからの日本はやって行けないという事である。

日本が先ず直面する事になる試練は重篤化する南スーダン情勢に対し、どの様に対応するか? である。

上記BBC報道を見る限り南スーダンは悲惨な内戦状況にある。自衛隊が南スーダンの平和と安定に貢献するためにPKOに参加したのであれば、現地治安状況の悪化を理由に撤退するなど言語道断である。そして、虐殺されようとする丸腰の難民を前に指を咥え傍観する様な自衛隊であれば、そもそもPKOに参加すべきではないという話になる。

実際に難民を救済するために自衛隊が交戦すれば戦闘に際して必然となる「犠牲」も覚悟せねばならない。そこで狼狽える様では、そんな基本的な覚悟もなく自衛隊を南スーダンでのPKOに参加させたのか? といった政治責任を厳しく問われる事になる。こういう話をすると、「国内法は順守せねばならない」といった反論を受ける事となる。

私も法は順守すべきと思っている。しかしながら、「停戦が守られている」条件が喪失したとの理由で世界がPKO増員に応じている中で、仮に自衛隊のみが我が身大事で帰国したら全世界が日本を軽蔑するのは当然である。国内法の制約があるとの理由で基地内に避難してきた難民が暴徒に虐殺されるのを傍観するのも同様である。自衛隊員は銃を取って難民救済に全力を尽くすべきである。当然、自衛隊が現在許可されている武装で充分なのか? といった議論も噴出するであろう。

そもそも、現地で順守する事が非人道的と全世界から批判される事になる「国内法」とやらを何故改正しないのか? 日本のマスコミも安倍首相の靖国神社参拝といった、所詮枝葉に過ぎない案件で何時までも揚げ足取りに狂奔するのではなく、日本は最早「一国平和主義」のぬるま湯に浸り続ける事は許されず、世界の平和と安定のために現実的な対応が求められている事を国民に説得すべきと思う。

注目記事