会社に全精力をつぎこまず、将来のために別のスキルを身につけるは、正しいか(追記)

「会社に全精力をつぎこまず、将来のために別のスキルを身につけるは、正しいか」という記事を書かせていただいたのだが、言葉足らずな点を補足したい。

会社に全精力をつぎこまず、将来のために別のスキルを身につけるは、正しいか」という記事を書かせていただいたのだが、言葉足らずな点を補足したい。

 そういうことを書くと、経営者目線であると思われる方もおらるようだけど、会社勤めも18年、経営者としても(規模は小さいとはいえ)13年やった僕にとっては、それは働く個人のためのアドバイスのつもりである。

 もちろん、会社としてもそうしてもらったほうが都合が良い話ではある。

 ただし、僕は、個人にとっても、その方が断然良いと思っている。

 なにをもって良いとするか、ということは個人それぞれだろう。しかし、それでは話が進まないので、40才、50才になって、会社が倒産したりしても、自分の納得のいく次の仕事をみつけることができる(自営にしろ、会社勤めにしろ)ような状況にいることを、今は個人にとって良いことである、とする。

 さて、会社員時代と今の僕が見ている世界はまったく違う。

 会社員でいるとき、独立することは何か特別な専門分野とか資質がなければとても成功しない難易度の高いものと思っていた。

 今どう見えているかと言うと、やはり世の中はチャンスに満ちていて、たとえ会社員でなくなっても、ダントツの専門知識がない人間でも稼ぐ方法は無限にあるという風に思える。会社員の時代にはそれは見えなかったが、今では会社員時代の給与を稼ぐ方法は、僕が今やっている仕事の周りにもたくさんあることがわかっている。

 そしてたしかに、僕の周囲には、誇る学歴も、どこかの学校や会社で学んだ専門知識もないが、立派に稼いでおられる「おにいちゃん」や「おばちゃん」と呼びたいような人がたくさんいる。

 僕が見ている世界では、上に書いた「良いこと」を実現するのは、難しいことではなく、容易なことに見えるのである。

 ただし、そういう人たちに共通しているように思える点がいくつかある。

・学び方を知っている

・考えすぎず、すぐにやってみる

・自分の得意な方法で売っている

・過去や常識、体面などにとらわれず柔軟である

 彼らは行動力に溢れていて、とにかくやってみる。失敗して恥をかくときもあるけれど、それ以上に新しいことを、そうやって行動で学んでいく。

 お客様の変化は早く、その分野で長くやっている人はその変化についていくのに遅れがちになるが、彼らは固定観念にしばれていないので、楽々とその変化に追いついていける。

 また、人それぞれに得意な売り方があって、システム化が得意な人、お客様とコミニケーションを深めることが得意な人、とにかく商品力を特化してお客様が向こうから探してこられる人など、さまざまだ。

 だが、自分の得意なそのスタイルは崩さずに、その販売法を磨いていく。

 そして、もっとも大切なことは、上に書いたこととも重なるが、柔軟であるということだ。ふと気がつくと専門としていた分野を変えていたり、業界の常識をさっさと踏み越えていたり、働き方を変えていたりする。

 40才、50才になって、自分の場所をあらたに見つけなければならないとなった時、一番必要なのは、そういうマインドではないかと思うのだ。

 たしかに、その時マーケットに必要とされるスキルがあればそれにこしたことはない。

 が、たいていの場合、会社の仕事にうちこむことで得られるスキルと、そういうマインドのセットがあれば、次のポストをみつけることや、それが難しければ自営の道を選ぶこともできるのではないかと思うのである。

 ただし、そういうマインドを40代50代まで持ち続けることは、簡単ではないように思える。

 僕の知っている多くの人たちは、自分の専門分野を絶対動かないものと固定してその分野の考え方に染まりきっており、先に言った「おにいちゃん」や「おばちゃん」の柔軟性と行動力を失っているのだ。

 そうなってしまうと、そこに多少の資格をのっけたところで、次に自分を活かす場所をみつけるのは至難となってしまう。

 僕が言いたいのは、そういったマインドを持ち続けるための働き方こそがもっとも大事なことで、会社とは関係のないスキルを身につけることよりも、優先順位は高いよ、ということだ。

 そういうマインドを持ち続けるためには、会社のなかで、自ら転がり始める石となり、さまざまなことをやってみる、やらせてもらう、そこで成功すれば、さらにあらたなことに挑戦させてもらう、そいう働き方をするしかないように思えるのだ。

 そして、たいていの場合は、会社というところは、そういう働き方をする人にはその舞台を用意してくれるものなのである。

 もちろん、それが会社の利益と合致するからでもあるので、経営者目線と言われればそれはそれで間違ってはいないのだが。

まあ、そうやって舞台を駆け上がって行った人が、会社の大黒柱となり、しかし、その人がいつまでも会社にいてくれる保証もないことを考えれば、一方的に経営者視点の話でもないことはわかっていただけるとは思う。

2015年3月29日「ICHIROYAのブログ」より転載)