photo by Jeff Sturges
いったい、ビジネスマンは生涯いくつの会議に出席することになるのだろう。
僕も、とくに企画担当部署にいたとき、毎日複数の会議に出席していて、会議の合間に自分の仕事をするような状態になっていた。
そして、会議で多くを学んだが、たくさんの失敗をした。
正直に言って、そもそも僕がビジネスマンとして未熟であったということが大きいと思うので、僕の体験がほかの誰かにどの程度役立つかはわからないが、苦い失敗のいくつかを書いてみようと思う。
1.フルコミットしない
会議によっては、自分とはあまり関係がなかったり、自分が議題に貢献できそうもない時がある。あるいは、その会議そのものが時間の無駄であるように感じる。
そういう時、ついつい、ほかのことを考えたり、開いた手帳に別のことを書いていたりして、会議の流れを追うのをやめてしまう時があった。
そして、そんなときに限って、「で、黙ってるけど、ワダはどうやねん?」と話を振られたりする。
あたりまえの話だが、どんな会議も、招集者は無駄と思っているはずがなく、会議に呼ばれたということは、なにがしかの貢献を期待されている。会議にフルコミットすることをやめると、正真正銘の時間の無駄になってしまうし、急に話をふられたときなど、自分の評判を落としてしまう。
いまから考えると、どう考えても無駄と思える会議でも、最悪、そんな無駄な会議を招集者はどういう呼吸でさばいているのかというようなことを観察し、自分がその立場になったならというシュミレーションをしたりすることはできた。
呼ばれた会議にフルコミットしない時間があったのは、大きく反省すべき点だ。
2.自分が期待されている役割を認識していない
営業部との会議が続いてぐったりしているとき、ある上司から「お前は情緒的なことばかり言ってるな」と言われてグサリときたことがある。
その一連の会議は、営業部になにがしかの改善を求めることを意図した会議で、僕は「改善点を指摘する」役回りであった。ただし、それを担うメインの役回りの人は別にいたので、そういうことが思い浮かばない時は、ついつい、「大変ですねえ」みたいなことを口にしてなんとかその場をしのいでいたのだった。
その一連の会議で、問題点を指摘する能力がなかったことも問題なのだが、もっとも悪かった点は、「大変ですね」というようなことは、上司がひきとってまとめる際に言うセリフであって、僕が発言すべきことではなかった、僕は自分の役回りを認識していなかった、ということだった。
3.批判的な意見を言うことを過度に嫌う
そもそも、僕は「批判精神」に乏しく、「みんな一生懸命やってる。批判するより、何か建設的なこと、状況を打開できるアイディアを出したい」と過度に思ってしまうたちだ。
そこで、ついつい、出席者の気持ちばかりおもんばかったような発言ばかりしてしまう傾向にあった。
健全な批判精神、懐疑心は会議を実りあるものにするスパイスだ。
4.会議の主催者の意図を超えた解決を望もうとする
会議の主催者が望んでいることは、現実的な結論だ。会議以前に、どの場所から議論するべきかということは暗黙に合意されており、そこから考えうる現実的な解決方法を導きだそうとする。
しかし、僕は理想に走るあまり、その場所から前にさかのぼって、「べき論」を述べてみたり、主催者の意図を超えた血を流すことを関係者に提案してみたりしていた。
しかし、会議で主催者の意図を逸脱した結論は出るはずがない。
そんなとき、会議の主催者の認識が間違っていると憤りを感じたものだが、もちろん、僕のほうが間違っていた。
5.会議に準備不足で出席する
時間がないこともあったが、準備不足で会議に出て役に立てないことも多かった。
できれば、もっと事前に調べたり、資料を用意したりすることができれば良かったのに、といつもあとから思った。
もちろん、したくても会議続きで業務もたまっており、それができなかったのだが。
ただ、メリハリをつけて、ここぞという会議には、時間を捻出してもっと準備をすればよかったと思う。
たとえば、自分がしゃべるのは苦手とわかっているのだから、長時間の発表や短時間だけど大事なプレゼンなどは、ちゃんと「口に出して」練習しておくべきだった。会社員時代、プレゼンの事前練習というのはやったことがなく、はじめてそれをしたのは、独立後、お金をいただいてはじめて講演したときだった。
やはり、考えが甘かった。
6.会議でのマナーが悪い
僕は常識的な会社員だと思っていたが、いまから考えると、相当、会議でのマナーが悪かったのではないかと思う。
ある時、会議のあとで上司から、「メールばっかり見て」と叱られた。だが、その時は、その会議に出席するはずのもうひとりの上司の到着が遅れていたので、なにか連絡が入っているかもと思って、メールチェックをしていたのだった。
だが、その方は異動後早々で、会議での部下たちの挙動にかなり神経を使われていた時期だったようだ。
携帯は論外としても、会議の招集者や上司は、他の出席者の何倍も、それぞれの人の挙動には敏感になっている。
ついついやってしまうことに、腕組みとか、腕時計を見るとか、私語をするというようなことがあるが、そういう行為は、主催者が権威を損ねられたと感じることが多いので、もっと注意する必要があったのだ。