とうきょうスカイツリー駅。ホームでの「東京スカイツリーの撮影」は禁止されている。
撮影派のレールファンによるトラブルが後を絶たない。メディアやネット等では「撮り鉄」という言葉も使われ、社会問題と化してから数年たっても一向に改善されていない。どの分野でも、一部の心ない行動が"全体の行動"とみなされてしまう。
さて、東武鉄道伊勢崎線梅島駅が撮影禁止となった。その真相を探ってみた。
梅島駅は、東京都足立区に所在する駅で、ホームは高架にある。上り1番線と下り2番線の位置が別々なのが特徴だ。同社によると、開業当時の資料がないので詳細についてはわからないが、「用地の所得が関係しているものと思われる」という。
1番線の北千住寄り、2番線の西新井寄りは、列車が撮りやすく、鉄道誌にも掲載されていたせいか、レールファンにとっても"撮影の名所"と化していた。
ホームのまわりは、近隣の住宅も見渡せるほどの密集地で、特に2番線側は、リライズガーデン西新井(分譲マンション)が2009年に完成。のちに東京スカイツリーも一望できる駅となり、ホームで列車などを撮影する人も増えた。
近隣の住民は、生活環境の激変を感じたのか、「ホームからの撮影がプライバシーの侵害になる」といった内容の意見を梅島駅に寄せた。このため、2014年10月より、「ホームからの撮影は御遠慮いただく」という内容の看板を2番線西新井寄り先端の柵に設置した。無論、1番線も撮影できない。
同社によると、ホームからの撮影禁止については、駅長の判断に任せている。したがって全社では、特にホームからの撮影を禁止する案内は行なわれていない。また、ホーム上については、利用客の安全上の観点から、日頃より駅の案内放送、掲示物などにて注意喚起を呼びかけている。
今回、プロの鉄道カメラマンとして活躍されている金盛正樹氏、清水薫氏に、鉄道撮影の注意事項などをお伺いした。
金盛氏
「運転席に向かってのストロボ(フラッシュ)発光は絶対にしない」
「ホームの先端ならともかく、乗客の多い場所では、三脚は使用しない」
「駅、ホームでの移動の際に走らない」
「駅員の指示に従う」
清水氏
「列車に向けてのストロボ(フラッシュ)発光、駅構内での脚立使用はいずれも厳禁。駅構内の乗客のいるところでの三脚使用の自粛」
金盛氏
「今のところ、聞いていない」
清水氏
「関西のJRや大手私鉄沿線は、線路に沿ってフェンスが建てられたところが多く、敷地内立ち入りそのものが以前に比べて困難になったところが多い。撮影禁止となった場所について、関西地区では、最近耳にしていない」
金盛氏
「メディア等で、我々が声を挙げなければならない」
清水氏
「関西から見て、関東は相当荒れている感じで異常。関西の場合、線路内立ち入りなんかについては、運転士の判断ですぐに列車を止めてしまうことが多く、その場合は翌日の新聞沙汰にも発展しかねない。
そのことを知っている多くの関西のファンは、無理をしないように思う。現在の関東方面の荒れ方を見ていると、それを煽っているかのようなマスコミの番組制作手法にも問題があるのではないか?」
冒頭で述べたとおり、撮影派のレールファンによるトラブルは、枚挙にいとまがない。今後も「撮影禁止エリア」が増えないよう、ひとりひとりが節度をわきまえ、社会全体に対し、信用と信頼の回復に努めてほしい。
【協力:東武鉄道、金盛正樹氏、清水薫氏】
(しらべぇより転載)