JR東日本E235系量産先行車-最新技術とデザインを融合したオシャレな車両- エクステリア編

山手線の新型車両が公開。E235系量産先行車はここがすごい。

春爛漫の報道公開。

JR東日本E235系量産先行車が2015年3月28日に東京総合車両センターで報道公開された。周辺では菜の花が咲き誇り、桜も満開が近づくというポカポカ陽気の中、和やかな雰囲気で報道各社が取材した。

■KEN OKUYAMA DESIGN監修の新型通勤電車

アオガエルを連想させる前面デザイン。

E235系は「お客さま、社会とコミュニケーションする車両」をキーワードとした車両で、2015年3月23日に総合車両製作所(以下、J-TREC。「JAPAN TRANSPORT ENGINEERING COMPANYU」の略称)新津事業所で完成し、同日より信越本線新津―羽生田間で4往復の試運転が行なわれた。同年3月26日に越後石山―大崎間(信越本線、上越線などを経由)で、電気機関車牽引による配給輸送が行なわれ、上京した。

前面は従来の一般形電車(E231系、E233系など)以前から続くブラックフェイスを踏襲しつつ、ウグイス色(山手線のラインカラー)とのグラデーションが斬新だ。それもそのはず、近年、JR東日本優等車両のデザインを手掛けるKEN OKUYAMA DESIGNに依頼したのだ(インテリアについては後日記述する)。

E235系の車体側面。ラインカラーの帯をグラデーションにすることで、単調さをなくしている。

JR東日本のステンレス電車では、車体側面の帯は横方向が標準だった。

エクステリアのグラデーションは、前面だけではない。車体側面も乗降用ドア部分や、その上部に施されている。現在、山手線で可動式ホーム柵(ホームドア)の設置が進められており、乗客の視認性を向上させる。

■"やわらか味"を醸し出す行先表示器

行先表示器(側面)のサイズを拡大すると、見やすさが向上する。

行先表示器(前面と側面)は、E233系と同じフルカラーLEDを採用した(山手線用に投入されたE231系500番代は、オレンジ、緑、赤の3色LED)。前面の先頭車は「山手線」と「行先」の交互、側面は「山手線」、「行先日本語」、「行先英語」の順にそれぞれ表示し、いずれもウグイス色の帯状の線を添えている。側面はE233系と同様、駅停車中は次の停車駅も表示している。サイズは従来と変わらないので、もう少し大きくしたほうが見やすい。

書体はE233系と変わらないが、帯状の線を添えることで、硬さがないように映り、デザイン重視の姿勢がうかがえる。

遊び心あふれるフルカラーLEDの行先表示器。

特筆すべきなのは、最後部車両の前面のみ「山手線」と「行先」のあと、イラストも表示されること。J-TREC社員とJR東日本運輸車両部長の話をまとめると、イラストは毎月変わる予定で、今のところタンポポしか決まっていない。「これから面白味を出していきたい」(JR東日本運輸車両部長談)というので、今秋のデビューを心待ちにしたい。

ヘッドライト(前部標識灯)はJR東日本初のLEDで、Lowは上半分、Highはすべてをそれぞれ点灯。テールライト(後部標識灯)もLEDで、こちらは20世紀からの標準装備である。

■JR東日本の標準ステンレス車体となった「sustina(サスティナ)」

車内の車両ステッカーの下に、sustinaの銘板を貼付。

E235系は従来の一般形電車と同じステンレス車体で、10号車(この車両のみ、E231系500番代の改造車)を除き、sustina(ステンレス鋼の略号「SUS」と、「Sustainable」を組み合わせた造語)を採用した。

sustinaは、東京急行電鉄(以下、東急)とJ-TRECが共同開発した次世代ステンレス車体のブランド名で、魅惑的な車両デザイン、環境親和性の高い車両、信頼性確保と車両ライフサイクルコスト低減の両立などが特長だ。東急5050系の5576号車を皮切りに、JR東日本EV-E301系、HB-E210系などを製作した実績を持つ。

J-TREC はE235系のsustinaを「大都市向け通勤車両 量産型第1号」と銘打っており、今後も国内の普及を目指す。

■「故障に強い車両」が進化

現在も量産が続くE233系は、車両故障による輸送障害を減らすため、主要機器の二重系化を図った。E235系もそれを踏襲しつつ、乗降用ドア、空調、動力操作の機器など、自動的に監視する装置を搭載した。故障の兆しを検知する、もしくは変化が起きた時、早急に対応できることを目指す。

3号車の屋根上には、架線状態の監視機器を搭載。

4号車の床下には、線路設備モニタリング装置を搭載。

例えば、3号車の屋根上には、架線の状態を監視する機器が搭載された。走行中にデータを収集し、問題点が発生した場合、終電後すぐ工事にとりかかれるなどのメリットがある。現在、夜間の点検作業では,員が目視しているので、E235系が普及すると手間も省く。

制御方式は今や国内の新型電車標準といえるVVVFインバータ制御で、主制御器にフルもしくはハイブリッドSiC (Silicon Carbide.:炭化ケイ素)半導体素子を採用し、E231系500番代に比べ、消費電力を3%削減した。

【次回(インテリア編)に続く】

Yahoo!ニュース個人より転載)

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