2014年3月15日、終点到着をもって寝台特急〈あけぼの〉が定期運転を終えた。今後は臨時列車として運転されるとはいえ、長く続く保証はない。寝台特急〈あけぼの〉は臨時列車として残り、すでにゴールデンウィークの運転が発表されているものの、定期運転のとりやめはさびしい。

2014年3月15日、終点到着をもって寝台特急〈あけぼの〉が定期運転を終えた。今後は臨時列車として運転されるとはいえ、長く続く保証はない。

■寝台特急〈あけぼの〉、定期運転から撤退

寝台特急〈あけぼの〉は臨時列車として残り、すでにゴールデンウィークの運転が発表されているものの、定期運転のとりやめはさびしい。2014年3月14日の上野駅では、約2,500人(NHK総合テレビ『ニュースウオッチ9』、讀賣新聞発表)のレールファンが定期運転最後の青森行きに別れを惜しんでいた。

JR東日本やマスコミは、利用客の減少、客車の老朽化(牽引する電気機関車も、新製から30年以上経過しているのがほとんど)などを理由に、定期運転から臨時運転に格下げしたと報じている。加えて新幹線の充実、航空機や高速バスとの競合もあり、設備と寝台料金が見合わないブルートレインを敬遠する人が多かったのも事実だ。JRグループはなんの対抗策もせず(もしくは「できなかった」)、乗車率の回復が見込めないと判断し、廃止を決める。

2005年以降の新聞記事を見ると、廃止されたブルートレインの乗車率は、最盛期に比べ3~4割まで落ち込み、寝台特急〈彗星〉については平均20人。2段式B寝台1両で足りてしまうほど衰退していた。

ところが寝台特急〈あけぼの〉の場合、乗車率は6割とやや高く、日によって満席となっていた。廃止報道前から需要があるのだから、新型車両投入を検討しなかったのが理解できない。

■寝台特急〈北斗星〉〈あけぼの〉の廃止を確信した理由

以前、私はYahoo!ニュース個人(2013年11月3日掲載)で下記を述べた。

「JR東日本は、2013年6月4日に超豪華周遊型寝台車『クルーズトレイン』を投入し、2016年春の営業運転開始を目指していることを発表した。詳細なデザインはまだ決まっていないものの、JR九州のクルーズトレイン〈ななつ星 in 九州〉にヒケを取らない、ハイグレード車両になるのが確実だ。

私はこの一報を目にした時、私は寝台特急〈北斗星〉〈あけぼの〉の次世代車両がないと確信した」

確信した理由は、乗車率が堅調な寝台特急〈北斗星〉〈あけぼの〉の次世代車両を早期投入しなければならない状況にもかかわらず、富裕層向けの『クルーズトレイン』を発表したことだ。

さらに同社プレスリリース発表から1か月後、EF510形500番代(寝台特急及び貨物列車牽引用の電気機関車)15両のうち9両をJR貨物に譲渡した。この車両は2009年12月から2010年10月にかけて投入したばかりで、4年のあいだに夜行列車に対する考え方が変わってしまったのか。

なお、EF510形500番代は、寝台特急〈あけぼの〉を牽引していない。

一方、JR西日本では、2014年2月13日に豪華列車の開発を公表している。同社は臨時寝台特急〈トワイライトエクスプレス〉の客車及び、大阪―青森間牽引の電気機関車を保有しているが、プレスリリースを見る限り、後継車両ではなさそうだ。寝台特急〈北斗星〉〈カシオペア〉共々、北海道新幹線開業を機に廃止されてしまう可能性がある(毎日新聞ホームページ「寝台特急:サヨナラあけぼの 大勢のファン、別れ惜しむ」では、寝台特急〈北斗星〉の2014年度末廃止を明言している)。

■夜行列車は将来も必要

夜行列車のメリットは、寝ながら移動できる点に尽きる。しかも時間通りに運行されていることが多いので、スケジュールが組みやすいほか、夜型人間にとって、早朝の移動は体力、精神の両面できつい。今でも"寝台列車に乗って旅をしたい"と憧れを抱く人はいる。

一方、夜行バスの場合、安いのは魅力だが、高速道路で渋滞にあう、工事や事故などで通行止めにあうと、一般道路に迂回しなければならないなど、定刻より相当遅れるデメリットがある。その代わり、渋滞が発生しなかった場合は、定刻より相当早く着くメリットもある。

現在の夜行列車は、以下のタイプに分かれる。

(1)廉価:臨時快速〈ムーンライトながら〉〈ムーンライトえちご〉〈ムーンライト信州〉

(2)プチ豪華:寝台特急〈サンライズ瀬戸〉〈サンライズ出雲〉

(3)豪華:寝台特急〈北斗星〉〈カシオペア〉、臨時寝台特急〈トワイライトエクスプレス〉

(4)バラエティー:急行〈はまなす〉(2段式B寝台、指定席はドリームカー、のびのびカーペットの2種類。自由席は簡易リクライニングシート。ただし指定席も簡易リクライニングシートの場合がある)

今まで廃止されたブルートレインは、設備が中途半端な印象がある。これからの寝台車はビジネスから家族旅行まで幅広く対応できるよう、すべて1~4人用個室にしてほしい。この願いはかなわないのだろうか。

★備考

・鉄道ニュース「EF510ー504が東新潟機関区へ

・鉄道ニュース「EF510ー508が東新潟機関区へ

・JR西日本ホームページ「2月定例社長会見

・堀内重人の地域公共交通・夜行列車の存続・活性化に向けた提言「『サンライズ瀬戸・出雲』と『あけぼの』の現在の乗車率

・堀内重人の地域公共交通・夜行列車の存続・活性化に向けた提言「寝台特急『あけぼの』の廃止について

・「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか「交通権学会シンポジウム『交通政策基本法を考える』で講演しました

(2014年3月15日「Yahoo!個人」より転載)

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