「津久井やまゆり園」の惨殺事件について

私は、「津久井やまゆり園」の惨殺事件について、自分の考えを自分の言葉で記さなければと思いながらも、そうすることができず、今日まで一週間がたってしまいました。

私が今も尊敬してやまない、ユング派の臨床心理学者の故 河合隼雄先生(臨床心理士の制度設計の中心的役割を果たされ、文化庁長官も務められました。ご自分では「日本嘘つき倶楽部の会長」とうそぶいておられましたが...)がその著作で『自立の反対は孤独ではないですよ。人は皆、孤独に産まれ孤独に死んでいくのは当たり前のことです。だからこそ人との触れ合いを大事にするのです。孤独は自立を支える大切な自覚。そして、誰もが自立するためには、たくさんの人に依存しなければなりません。そうして自らの根っこを人との触れ合いのもとにしっかりはらなければなりません。もし自立の反対を示す言葉があれば、それは「孤立」という言葉です』という一文を読んだ覚えがあります。

私は、7/26未明におこった「津久井やまゆり園」の惨殺事件について、自分の考えを自分の言葉で記さなければと思いながらも、そうすることができず、今日まで一週間がたってしまいました。

日本の社会状況が、ある意味、ここまできてしまったという思いもありました。職場でも大きな話題にはなっていませんでした。(同僚の皆さんも、どう捉えていいのか苦慮しておられたのかも知れません...)

私自身、どう発信すべきか、また私などが発信するなどとは僭越なことかとも思いました。

そして、思い至ったのが文頭の故河合先生の言葉でした。

もちろん、事件の容疑者の行為は断じて許されるものではないと私も思っています。(起こした行為には、どんな理由があれ厳罰を持って臨むべきだとも思っています)また、被害にあわれた方々のことを思うと胸が痛み、心が引き裂かれる思いです。

ただ、多くの皆様がきっと思われているように「二度とこのような事件が起こりませんように」ということを私なりに考えると、いきつくところは、(本当に掛け声だけでなく)真にインクルーシブ=包摂的な社会の実現、真に互いに優しい社会の実現、自立と良い意味での依存が尊重され孤立する方を見過ごさない社会の実現だと思うのです。

こんな悲しい出来事を本当に二度と起こさない、起こさせないためにも、是非とも国レベルの行政を先頭に自治体レベルでも、現在の社会状況に危機感を持って全力で取り組んで頂きたいと思います。

もちろん、私も自分の職業倫理として、また1人の同時代に生きる人間として、考える事を止めず自分のできることをしていきたいと思います。

以下、共時的(ユングの唱えた意味のある偶然)に読んだハフィントン・ポストに掲載された高畑様の記事のリンクです。ご一読頂けると幸いです。

【膨大な依存先を提供できる社会に】

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