◆ 「グリーンバード新宿」誕生!!
まあ、何とも気恥ずかしいポスターができあがりました。
じつはこれ、今年4月に発足したボランティア団体「グリーンバード新宿」の告知ポスターなんです。
みなさん、「グリーンバード」はご存じですか? いまから11年前に表参道で始まったお掃除ボランティア団体。いまでは日本全国のみならず、パリやガーナ、シンガポールなど、海外も含め55地域での清掃活動が行われているのです。
そして今年4月、遅ればせながら56番目に発足したのが、この「新宿チーム」。代表は、わたくし乙武洋匡が務めさせていただくこととなりました。
「なんでまた、そんなことを」
「なぜ、新宿なの?」
「そもそも、おまえどうやってゴミ拾うんだよ!」
など、様々なツッコミが聞こえてきそうですが、じつはこんな思いがあるのです。
◆ 教育には「地域」という文脈も必要
二十代後半から教育に関心を抱き、力を注いできました。
2005年4月~2007年3月 新宿区教育委員会「子どもの生き方パートナー」
2007年4月~2010年3月 杉並区立杉並第四小学校教諭
2013年2月~現在 東京都教育委員
「現場」と「行政」、ふたつの立場から学校教育と関わってきましたが、子どもたちが育つ舞台は「学校」だけではありません。「家庭」や「地域」も同じく重要。しかし、上記のような立場では、なかなか家庭や地域と密なコミュニケーションを図ることができません。
もっと、「地域」に根ざした活動ができないだろうか――。
そんなジレンマを感じていたところに思いついたのが、「グリーンバード」。ゴミ拾いを通じて、地域と関わることができないだろうかと考えたのです。
◆ 世代間交流の必要性
もうひとつ。今年2月、関東甲信越では記録的な大雪被害に見舞われました。真っ先に心配したのは、都内で一人暮らしをする母のこと。しかし、元気いっぱいの母は、2週連続で降り積もった大雪をひとりで雪かきしてのけ、私を安心させてくれたのでした。
ただ、「いま」はいいかもしれない。しかし、これが5年後、10年後だったらどうなるのか。今回の大雪でも、雪かきができずに困っていた高齢者もいたのではないか。大雪だけでなく、地震などの災害が起こったとき、都心部の高齢者をどのように救えばいいのだろう。
「あそこのおばあちゃん、だいじょうぶかな?」
「あの家には車いすの人がいる。見に行ってこよう」
そうした関係性が築かれていれば、誰もが安心して暮らせるまちとなる。それには、若者や高齢者が普段から交流できる「場」を設けていく必要がある。「グリーンバード」の活動を通じて、そうした世代間交流を図ることができないだろうか――。
◆ 多様性のまち「新宿」
このグリーンバードの活動に思いが至ったとき、真っ先に頭に浮かんだのが新宿でした。東京都立戸山高校、早稲田大学という経歴をたどった私にとって、新宿はまさに青春を過ごしたまち。私を育ててくれたまちなのです。
それだけではありません。新宿は、"多様性"のまち。高層ビルが建ち並ぶオフィス街があり、日本一と呼ばれる歓楽街があり、性的少数者や外国人が集い、老舗と呼ばれるお店がひしめく――。私が日頃から発信している「みんなちがって、みんないい」というメッセージをこれほどまでに体現しているまちは、他にないと思うのです。
これだけ様々な人が集う新宿だからこそ、日頃からコミュニケーションを図り、世代間交流を促していくことで、さらにまちが活性化していくのではないか。そんな思いが、僕のなかにありました。
◆ キックオフイベント大成功
今月5日、新宿区のほぼ中央に位置する戸山公園にてキックオフイベントを行いました。初めての試みだったにもかかわらず、学生ボランティアや町会の方々など、総勢60名を超すみなさんが参加してくださいました。
おたがい見知らぬ者同士。はじめのうちは戸惑う姿も見られましたが、おしゃべりしながらゴミを拾っていくうち、次第に笑顔もこぼれるように。ゴミ拾いの後には、引き続き戸山公園にてお花見も開催。みんなで楽しくお弁当を食べ、お酒を飲み、語らい合いました。第1回の活動としては、大成功だったと思います。
この活動は、まだ始まったばかり。すでに今月15日にも高田馬場にて第2回の清掃を行いましたが、今後も定期的に活動していこうと思っています。新宿区民の方も、そうでない方も、ぜひ気軽にご参加ください。ご興味のある方は、下記までメールにてご連絡いただければ、事務局からご案内させていただきます。
グリーンバード新宿事務局 shinjuku@greenbird.jp
【追記】
そうそう、みなさんの大事な疑問に答えていませんでした。
「そもそも、おまえどうやってゴミ拾うんだよ!」
こんな感じです。ぜひ、一緒にゴミ拾いしましょう!
(2014年4月22日「Oto's Mail」より転載)