「太陽光パネルのゴミ公害」時代がやってきそう

2012年にスタートした固定価格買取制度で、太陽光発電設備に投資すれば確実に利益がでるために急増しました。土地さえもっていれば、これほどいい利回りで稼げる事業は少ないのではないでしょうか。

都市部の住宅地で、屋根に太陽光パネルが設置されている住宅が増えてきましたが、さらに郊外の農村地域に車を走らせると、あちらの休耕地、こちらの工場跡地に太陽光パネルがずらりと並ぶ光景が目立つようになってきました。それだけではありません。山の斜面を切り開いて太陽光パネルがずらりと並らんでいるところもあります。えっ、それは自然環境破壊じゃないのかと思わず感じてしまいます。

こちらは熊本県のソーラパークを紹介したホームページですが、そんな感じです。ホームページで書かれている「自然溢れる山の都」という風情はまったく感じません。

2012年にスタートした固定価格買取制度で、太陽光発電設備に投資すれば確実に利益がでるために急増しました。土地さえもっていれば、これほどいい利回りで稼げる事業は少ないのではないでしょうか。さらに買い取り価格が下る前の過去込み申請が発生し、複数の電力会社が電力需給バランスが崩れるという理由で買い取り中断という事態も起こりました。

固定価格買取制度で増えた太陽光パネルですが、とうぜん耐用年数があります。20年前後でしょうか。では、20年後には、いったいどうなるのだろうとググってみると、巨大なゴミとなってしまうようです。環境省が先月に、耐用年数を過ぎて、ゴミとして排出される太陽光パネルは2040年度に77万トンに達するという試算を発表しています。

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77万トンといわれてもピンとこないのですが、東京23区で処理されるごみの量を調べると年間およそ280万トン、大阪市がおよそ100万トンなので、それらよりは少ないとはいえ、問題は、太陽光パネルの場合は、処理する設備がありません。おそらく粗大ゴミ処理は費用がかかるので、放置されるものも多いのではないでしょうか。気がつけば列島は黒いゴミだらけという事態を想像するとぞっとします。

(2015年07月21日「大西 宏のマーケティング・エッセンス」より転載)

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