東京都民ではないので、東京都知事選は傍観するしかないのですが、みなさんご指摘のように、なかに高齢の人が混ざっているのならそれはそれで選択肢としては豊かだと思えるのですが、候補者が高齢者揃い踏みの光景を見せられるとうんざりします。
田村秀新潟大学法科大学院教授が、ブログで世界の主要国の首都の首長の事例を紹介されていますが、日本と違って若いんですね。
夕陽が沈む黄昏の光景は情緒があるにしても、輝いているのは頭だけというのでは、地味すぎて様になりません。2020年の東京オリンピックは6年後、それぞれの年齢に6歳を加えると、ほとんどの候補者は70歳を超えることになり、細川さんに至っては80歳を超え、さらにドクター・中松さんは90歳を超えていることになります。90歳を超えて、なおかつフライングシューズでぴょんぴょん跳ねる姿を見れば、日本は高齢化しても活力があるというアピールはできるかもしれないですが。
そこで登場してきたのが家入一真さんで唯一30代です。いやはやほっとします。しかも右だとか左という時代遅れの腐ったぬか漬けみたいな線引きでないところがいいですね。
ネットでの影響力という点では、もっとも有利なのはネトウヨの「団体支持」を得ている田母神さんになってくるでしょうが、家入一真さんがどこまで支持を得ることができるのかはいやがおうでも注目してしまいます。
すくなくとも「居場所づくり」という他の候補者の人とは違った切り口には鮮度を感じています。居場所といえば若い世代もそうですが、とくに高齢化が進むと高齢者の居場所も問題になってきます。
それは年寄りだけに任せていればいい、年寄りが考えればいいということにはなりません。社会を支える若い世代の人たちの考え方が重要です。高齢化社会をどうするのかの決定は、その社会を支える側の世代が決めなければ、世代間対立を広げかねず長続きしません。
住民基本台帳では、東京都は60歳以上の人口が選挙権を持つ20歳以上の三分の一を占め、また高齢者のほうが投票率が高いこと、また高齢者ほどマスコミ報道に影響されやすいことを考えると、家入さんは決して有利とはいえませんが、少なくとも組織票で固め、美濃部都政を思い出させるような財政の悪化にひた走りしそうな宇都宮候補に上回る得票を得れば、なんらかの変化を生み出せそうな気がします。
外野席から密かに期待を持って家入さんの選挙戦を眺めたいと思います。
(2014年1月24日の「大西 宏のマーケティング・エッセンス」からの転載)