正月早々、中国の35歳の調理師が、熱気球で熱気球で尖閣に上陸しようと果敢なチャレンジを行ったものの結末が最悪。尖閣に近づいたときに熱気球が故障し、不時着水したというだけならまだしも、救助を求めた先が台湾の救難調整本部、さらに台湾の救難調整本部が救助要請したのが海上保安庁だったという皮肉でお粗末なお話です。
無事に救助され、尖閣近くを航行していた中国海警局の「海警2151」に引き渡されて、海警は、巡視船に無線で謝意を伝えて丸く収まったのでよかったのですが、レコードチャイナが、中国版ツイッターでも笑いものになってしまったことを微笑ましく紹介しています。
「中国人はもっと早くからこうすべきだった。今後はもっと多くの人が行動を起こすだろう。尖閣上陸も遠くない」
「この愛国精神には涙が出るが、なぜ軍国主義の施しを受けるのか」
「笑うべきなのか、泣くべきなのか...」
「恥ずかし過ぎる」
「やらかしたな。尖閣諸島が日本の管轄下にあると示しているようなもの」
「日本人に救助されるとは皮肉な。釣魚島(=尖閣諸島)は中国のものではないんですか」
「この事件のポイントは台湾が日本に伝えたという点」
「陳光標じゃないの?」(陳光標はニューヨーク・タイムズ買収の意向を明かし、派手な慈善活動でも知られる中国の実業家)
「この調理師の腕は大したことないはずだ。火加減を把握できていない」
尖閣問題は対立を避けて、日中双方の政府の面子が潰れない、また互いのナショナリズムを刺激しないソフトな解決の第三の道、たとえば尖閣に日中海洋資源開発の研究センターを日本が建て、日中共同研究の場にするとかの方法があってもいいのじゃないかと思ったりしていたのですが、中国のナショナリズムに燃える人たちが、そんなに尖閣に上陸したかったら、いっそ日中で尖閣をゴールにした熱気球レースでも開催しても面白いのじゃないでしょうか。開催は領土主権を考えると当然日本でなければなりませんが。
産軍複合体にとっては緊張が緩和されると商機を失うといった諸事情、安倍内閣の靖国参拝で国際世論を味方につけるチャンスを得た中国の事情を考えると、ソフトな解決は当分は難しいとは思いますが。
今年は、5月に上海でアジア信頼醸成措置会議(CICA)が、さらに秋には北京でアジア太平洋経済協力会議(APEC)で開催されます。日中の緊張緩和を期待したいところですが、靖国参拝で中国に国際世論のアドバンテージを与えてしまった安倍総理はこのチャンスを生かし、日本孤立化回避の切り札となる妙手があるのでしょうか。ちょうど日本は消費税増税の駆け込み需要の反動がやってくるという時期で、安倍内閣も正念場を迎えそうです。
それはそうともうひとつこちらはすこし気味悪いというか、ウォルマートが販売するロバ肉の一部でキツネ肉の混入がみられたと発表し、「ファイブ・スパイス」ブランドのロバ肉を回収し、購入者には代償として50元(約800円)を支払うそうです。
昨年日本で広範囲に広がったが食品偽装が思い出されますが、ロバ肉も日本では馴染みがないうえに、さらにキツネ肉とは面食らいますね。
(この記事は2014年1月3日の「大西 宏のマーケティング・エッセンス」からの転載です)