初めまして。
NPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」(ぼくいち)代表理事の後藤寛勝と申します。
私は、10代からこの組織にて若者と政治をつなげる活動を行ってきました。
21歳の大学3年生になった今、そして「若者と政治」をテーマに微力ながらも活動しているNPOの代表として考えている、これから本当に必要とされるであろう政治教育へのアクションについて書きたいと思います。
現在、ぼくいちは「若者と政治に新しい出会いを届ける。」をミッションに、両者が出会う「場と機会」をつくる活動を続けています。学生のみで運営しているNPO法人です。
その「場と機会」は、例えば永田町で高校生100人と国会議員がディスカッションする機会であったり、公立中高での出前授業だったり、過疎地域に行って空き家を再生する機会、自治体の中に若者が行政と携われる場を作ったりなど。詳しくはぼくいちの活動をご覧ください。
そんな中で、私たちが今後最も力を入れて取り組みたい活動が「中学校や高校における政治教育」(=票育)です。
ぶつかる壁
18歳選挙権が成立したことによって、ますます教育現場での政治教育・主権者教育の必要性が高まっています。よく言われている話ですが、ここでぶつかる壁がまず1つ。
『教える側の政治的中立性』
教員が政治的中立性を守れるか、つまり、自分の思想・信条を押し付けることがないかということが懸念されています。
さらに指導要領にプログラムを新しく組み込まなくてはいけなかったり、教員の方々もそれなりにインセンティブが無ければ実施が難しい現状があります。公教育における政治教育がなかなか進まない理由にもとても納得がいきます。
やはり、僕自身新潟市の公立高校に通っていた頃も、特に「政治教育を受けた」という印象はありません。中立性の懸念と教える側の難しさから、受験に必要な知識、枠組みの暗記。それすらも退屈でつまらないものでした。(いわゆる進学校だったのもあるかと思いますが。)
2013年の夏の参議院選挙期間に、ぼくいちメンバーと全国を周り、iPadによる街頭未成年模擬選挙を行いました。結果的に未成年の5500票を集めたのですが、その機会に聞いた声でも「学校で教えてもらえないからわからない」という答えが多かったのも事実です。
そして、それに関連してもうひとつ乗り越えなければいけない壁がもう1つ。
『プログラムの単一化』
やはりどうしても「政治教育」や「主権者教育」と肩を張って掲げてしまうと、実際の選挙に注目して「自分だったらどんな候補者を選ぶか考えてみよう!」というような授業内容の単一化が懸念されます。
「政治」という難しいものを扱うのであれば、ましてや若者の政治離れが叫ばれているのに、流れ作業のような授業をやっても仕方がないというのが僕の持論です。
きっと「楽しくて、学べて、誰もがどこでも実施できるもの」をつくることが必要でそれが一番難しいのだと思います。
政治教育で本当に得るべき力って?
授業を通して生徒が「投票の仕方を覚えた」とか「自分で選べてよかった」と言えることは大切です。しかし、僕らは政治教育を通してもっと必要なことがあると思っています。
それは、既存のものから『自分の答えを「選ぶ力」』を伸ばすこと。はもちろんですが、分け隔てのない色々な意見の中から『自分で答えを「見出す力・生み出す力」』です。これが票育の掲げる、伸ばしたい主体性です。
票育で打開したい
ここからは現在、中学校や高校で実施している側面から思うことを書きます。
ぼくいちの「票育」では、以下3つの点を活かして上の壁を壊したいと思っています。
1つ目、『政治教育の担い手は、U-22の第三者。』
「分け隔てのない色々な意見」は、必ず学校の中より外に多く転がっているはずです。
だからこそ、政治教育の担い手として民間やNPOなどの第三者は必要不可欠です。
自分のNPOばかりを例に挙げてしまい大変恐縮ですが、ぼくいちは毎回授業の度に高校生〜大学生の教育ボランティア(=票育CREW)を学校に派遣し、U-22のみで授業を実施します。
特に今、文科省が進めているアクティブラーニングや、民間が入る土曜授業(例えば野村証券×学校=お金の授業)が盛んになっていることの根幹は「外に転がっている意見や考え方を学校の中に入れる」という点で同じだと考えます。
ただ、民間企業はなかなか政治と関わりづらい側面があるように思えます。だからこそ、担い手は「縛りがなく」「若くて」「対称生徒と歳が近い」必要があると考えました。
このように考える理由は、教育現場でのプログラム実施で、僕らは「若くて生徒と歳が近いから」必要とされるんだろうと毎回感じているからです。
学校の外から、歳が1〜2歳しか変わらないお兄さんお姉さんが、教えに来てくれるという機会がある。それだけでかなり中学生や高校生にとって貴重な体験のように思います。
特に、今のような時代(ネットで世界が広がっているはずが、共感してくれるコミュニティだけに依存することでとても閉鎖的になってしまっている)に街に先輩と呼べるようなお兄さんお姉さんってなかなかいません。
大学生ボランティアは、政治教育を通して地元の中学生高校生とつながることができる。
中高生は学校の外に新しい先輩ができる。地元に新たなつながりを生んでいます。
何よりU-22の私たち自身「年下の子供達と一緒に何かやること」ってとても楽しいです。延長として、その地域に愛着も湧いてきます。
2つ目、『中立はプログラムで守る。』
私たちは、実際の選挙に則して、特定の政党や候補者を選ばせる授業は行いません。
時に必要だとは思いますが、架空の候補者でもアイディアでも絵でも、政治に関連した何かを選ぶことでとにかく「選ぶ力」「生み出す力」を伸ばせるようになればと思っています。
つまり、実際の選挙で誰を選ぶか考えることは、授業ではなくこういった思考と発想のトレーニングを重ねて自発的に考えられるようになった時初めて意味をなすのだと考えています。
3つ目、『誰でも、どこでも、楽しく。』
結局は、政治教育は楽しくなければ意味がないなと思っています。
だからここで政治に足りない、クリエイティビティの要素やエンターテインメントの要素を入れることが不可欠です。(LINEを使った授業や、Twitterを使った授業、パズルを使いながら自分の自治体について学ぶことのできる授業などなど。)
そして、時間はかかるかもしれませんが、そういった誰でもどこでも楽しく使用できるプログラムを数多くつくることが必要なのではないでしょうか。
後々には民間・NPOから教員の方々にプログラムが行き渡り、教員の方々も無理なく実施できる形になれば理想的です。
民間・NPOが力を合わせて人を巻き込みながら政治教育にアプローチし、それを継続的にコツコツ続けることこそが18歳選挙権成立の上で一番効果的ではないでしょうか。
最後に。
今、私たちが伝えたいことをもう一度。
私たちは、政治教育で得るべき力は、既存のものから『自分の答えを「選ぶ力」』を伸ばすこと。はもちろんですが、分け隔てのない色々な意見の中から『自分で答えを「見出す力・生み出す力」』だと思っています。
ぼくいちの政治教育(=票育)を通して、発想や、主体的な思考ができるようなプログラムをこれからもお届けしていきます。
そんな票育は、9月に葛飾区にて、10月は岡山県倉敷市にて!
政治を入り口に多くの若者が社会で活躍する図、社会をおこして明日をつくる。を掲げて引き続き精進します。
長文を読んでいただきありがとうございました。
これからも若者目線で思うことについて記していこうと思っているので、よろしくお願い致します。
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