これからときどきニュースの定点観測をしてみようと思う。世界の大都会から発信されるニュースに向かって、遠い地方の小都市の住民がブツブツ呟いてみても、どうということはないかもしれないが。

私は福岡の住民である。目は世界に向いているけれども、肌で感じるのは九州の風だし、食べるのは博多の料理だ。インターネットのおかげで、簡単に世界の映像や音声に触れることができるようになったが、生身の自分が日本の地方都市にいることは間違いない。

そこでは、日常生活の中で世界を感じる機会は多くない。東京に住んでいても国際社会に近づこうとしなければ同じかもしれないが、ニューヨークやロンドンで仕事をしている人たちに比べて外からの刺激が少ないのは当然。それでもテレビの海外ニュースなど細い管を通して、世界を見て感じることができる。

最近私は、朝も夜もNHKの7時のニュースをあまり観ない。すでに何度も観た映像の総集編的ニュースや番組宣伝の予告編的ニュースを長々とやっているのは、観る気がしないからだ。編集方針でそうなっているのか、ほんとうの意味のニュースの時間はほんのわずかしかない。その意味で、朝のBSでやっている番組「ワールドWaveモーニング」は、世界のトップニュースを短時間で見せてくれるのでありがたい。

民放の場合、テレビというメディアは時間を切り売りしている。15秒のCM、1時間のドラマ。時間の価格はどのくらい見る人をそこに引きつけておく力があるかによって決まる。今や若い人はそもそもテレビに時間を使わない。そのぶんスマホやインターネットに向かっていれば、限られた時間を奪い合う広告媒体の競争の中で、テレビは衰退するしかない。よほど質の高いリアルタイム情報を送らなければ、視聴者に飽きられるだろう。

しかし逆に誰もが好むほほえましい光景だけを報道して、視聴者が見たくないものは避ける、というのでは困る。海外で大問題になっていても国内で関心が向かなければ流れてこないことがある。視聴者におもねらず、悲惨な国際紛争であれ、目を背けずに正面から向き合っているか。その点、世界のトップニュースを見ていると、海外メディアの姿勢や国内感覚との違い、ニュースの送り手の意図など、いろいろ考えさせられることが多い。

これからときどきニュースの定点観測をしてみようと思う。世界の大都会から発信されるニュースに向かって、遠い地方の小都市の住民がブツブツ呟いてみても、どうということはないかもしれないが。

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