ソチ冬季オリンピックが2月7日に開幕する。日本選手団が活躍してたくさんのメダルを獲得することを心から期待する。
ところで、よく知られているように、オリンピック終了後に同じ会場でパラリンピックが開催される。ウィキペディアによれば、2000年のシドニーオリンピック時に国際オリンピック委員会と国際パラリンピック委員会との間で正式に協定が結ばれ、オリンピックに続いて同じ都市でパラリンピックを行うことが義務化されたという。だから、ソチでも、2月23日のオリンピック閉会式に続いて、3月7日から16日まで冬季パラリンピックが開催される。2月6日にはパラリンピック日本選手団の結団式が実施された。
それでは、大会公式サイトはどのように構成されているだろうか。オリンピックの公式サイトを閲覧すると、最上部にパラリンピックへのリンクが張られていることにすぐに気付く。パラリンピックの公式サイトにも、全く同じ位置にオリンピックへのリンクがある。グローバルナビゲーションの配置といった外見も同一である。これは、URLを見ると気づくように、パラリンピックをオリンピック公式サイトの一部として構築したためだ。
チケット販売のページでも、オリンピックとパラリンピックが同列に並んで、同じ手順で購入できるようになっている。余談だが、購入したチケットを公式にリセールできるようになっているのは興味深い。
それでは、公式サイトを閲覧する障害者への配慮(ウェブアクセシビリティ)は十分だろうか。NTTデータが提供するアクセシビリティ診断ツールHARELで採点すると、オリンピックのトップページは65点、パラリンピックのトップページは70点となる。完ぺきではないが、それなりに配慮されているという結果である。出色なのは、閲覧者が問題を感じたらコメントを送信できるようになっており、継続的にアクセシビリティを改善する姿勢を表明している点だ。これは、オリンピックでもパラリンピックでも同様である。
オリンピック・パラリンピックを、ウェブサイトを通じての情報受発信の観点でチェックしてきた。2020年に両ゲームを主催する東京が学ぶべき教訓は多い。第一に、オリンピックとパラリンピックを対等に扱うことである。第二に、そのために、パラリンピックだけでなくオリンピックについても、アクセシビリティに配慮して公式サイトを構築することである。第三に、アクセシビリティを継続的に改善するために、閲覧者からの意見を受け付けることである。ちなみに、ソチは革新的なオリンピック・パラリンピックを実現すると宣言し、その第二項でアクセシビリティについて新しい基準を確立するとうたっている。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が発足した。1月24日現在の役員名簿には障害者スポーツの代表が含まれていないが、オリンピックとパラリンピックの対等性という観点で大丈夫なのだろうか。今後、公式サイトのアクセシビリティへの配慮が進むかどうかも心配だ。