森と、海と、明日へ こどもの未来が町の未来に!3年目の夏

モリウミアスはお陰様で新しいチャプターに入りました。

久しぶりのハフィントンポスト寄稿です。ちょうど1年、昨年の今頃に書いて以来です笑

お陰様でモリウミアスは2周年を迎え、7月22日から3回目の夏が始まっています。この夏は全国、世界中から約100人のこども達が集まり、雄勝の自然と人から様々な刺激を得る時間が流れます。8月の終わりまでこれから5週間、人口が1,000人程度に減ってしまった雄勝の町に響きわたる明るく元気な声。近くの浜に住む方々はモリウミアスで毎日焚かれるお風呂のボイラーの煙を見上げて賑わいを感じているそうです。

これから人口が増え、自然資源が減り、自然災害が多くなっていく時代を生きるこども達。そして地域では少子高齢過疎化で寂しくなるも、とても豊かな資源(人も含めた)がある。こども達をはじめ、世界中からたくさんの人が集まる学び場が震災によって辛い経験をしたここ雄勝の町を少しずつ元気にするきっかけをつくれるのではないか。そんな思いと共にチャレンジを続けています。

モリウミアスはお陰様で新しいチャプターに入りました。近況としては、今年の1月に新しい宿泊棟アネックスが完成。モリウミアスの左側に立つアネックスはカタールフレンドシップ基金と中村弘文氏のデザインによりるもの。家族で訪れる保護者が滞在したり、企業がオフサイト・研修利用をする場になりつつあります。5,000人もの手によって命が吹き込まれたモリウミアス。その人達がまた戻ってくる場所にもなっています。

2月には長く朽ちていた校長先生の家がコミュニティスペース「いったり、かったり」として生まれ変わりました。住民のお茶会スペースとして、卒業アルバムを見ながら小学生時代の話をしてくれたり、味噌や雛人形をつくって暮らしの知恵を伝授してくれたり。昔の雄勝の暮らしを感じられる素敵な場所となりました。こども、大人、そして住民が集まる場がモリウミアスには揃いました。春休みには花見とフリーマーケットを開催し、住民の肩を揉んでマーケット内通過を得て買い物をするこどもの姿が見られました。訪れる人と交流が生まれる、コミュニティのような場が生まれています。

循環する暮らしには欠かせない動物として山羊の親子も仲間に加わりました。母親のベリンダと娘のもも。ももはモリウミアス産まれで、住民が覚えやすいように和名にしました。出産後はベリンダのミルクでチーズをつくったり、糞を堆肥にしたり大事な役割を担ってくれています。自然と生きることを学ぶ場も進化していました。

アーティストも健在。Artist at MORIUMIUSの一環で2016年から毎月外国人アーティストが滞在し、作品をつくっています。いまは6月からアメリカ人のスカイが昨年に続き2回目の滞在中。日本を代表する雄勝の名産、硯石のスレートの破片にリサイクルして漉いた紙を貼り付け、絵を描いたりこども達と独創的な世界を作り出しています。

写真家の蓮井幹生さんは5月に2度目のワークショップを開催していただきました。3日間滞在していたこども達と自然の中の美しい瞬間を切り取る。各々が感じた瞬間を写真として切り取る。驚くほど素直に、気になった瞬間にシャッターを切っていました。中にはカメラを振りながらブレた写真をあえて撮るこどもがいたり笑 感じることに素直になれる、それが写真として記録され残る。素敵な時間が流れていました。

ゴールデンウィークにはNPO法人キッズドアが応援する高校生が来てくれました。受験を終えて高校に進学した生徒にご褒美のようなツアーを企画し、代表の渡辺さんが自らクラウドファンディングで呼びかけて資金を集め実施されました。自然や地域との繋がりと共にモリウミアスのスタッフから未来の自分を考える機会になったようでした。

海外からはモリウミアス立ち上げ時に多くの資金をサポートいただいたニューヨークのJapan Societyがジュニアフェローとしてアメリカ人高校生を連れて滞在。今まだ自然に生かされている、繋がっていることをこんなに感じたことはなかった。振り返っていました。最後の夜、ウッドデッキで星空を見上げながら歌を歌う彼ら彼女ら。その後ろには研修で訪れていた霞が関の若手官僚が食事をする。こんな不思議で多様な場がモリウミアスらしさを感じさせてくれました。

7月15〜17日の連休は2周年を記念して、東京スパイス番長のシャンカール・ノグチさんとスパイスカレーのプログラムを開催。漁師と一緒に水揚げした鮎魚女をさばき、ココナッツカレーとして調理。新鮮な食材をスパイスを使って普段とは違ったカレーに仕立てていました。また、パタゴニア日本支社の辻井さんはパタゴニアが応援する長崎県でのダム建設反対活動や山口での原発建設反対活動のドキュメンタリーを持って駆けつけてくれました。夜にこども達と保護者、サポーターの皆さんと鑑賞し、雄勝のような自然がなくなったら、どうなるのか?自分の意見を持つことは大事だ、とこどもなりに感じていました。

世界中から集まるこども達。そのこども達が感じる自然の循環や命、地域の物語、人の多様性、そして暮らしの工夫。どういう意味を持たせ、考えていってもらうのか?それに我々スタッフも向き合いながら場を豊かにしてゆくことが、こども達が未来に繋がる。自らの手で明るく、豊かで平和な世界を切り開いていくことに繋がる。そして、雄勝の町にこれからも人が訪れ続け、故郷のように思ってくれる人が増え続けることができれば、明るい未来にも繋がるのでは。そんな夢を描きながら3回目の夏を過ごしています。これから夏のモリウミアスの様子を毎週書きますので、ご覧ください。

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