これまで、先発投手の負傷離脱などで何度も松坂に先発のチャンスを与えるタイミングがありながら、メッツのアルダーソンGMやコリンズ監督は3Aのマイナーチームから、若手を昇格させてきた。それがなぜ今回、突然松坂に先発のチャンスが巡ってきたのか。
■これまでコリンズ監督は松坂の先発起用を避けてきた
ニューヨーク・メッツの松坂大輔投手(33)が25日(日本時間26日)に今季初先発することが決まった。舞台はホームスタジアムのシティ・フィールドで行われるダイヤモンドバックスとのダブルヘッダー第2試合。
これまでも、先発投手の負傷離脱などで何度も松坂に先発のチャンスを与えるタイミングがありながら、メッツのアルダーソンGMやコリンズ監督は3Aのマイナーチームから、若手を昇格させてきた。現在はモンテロとデグロムの2投手がそのような流れで先発ローテーションに名を連ねている。
それがなぜ今回、突然松坂に先発のチャンスが巡ってきたのか。
メッツは23日のダブルヘッダーが降雨のため中止となり、しかも、4回ノーゲームになった。先発したベテランのコローンは4イニング投げてしまったため、中4~5日程度の間隔を空けなければ先発することはできない。当然、日程が変更された2日後のゲームにも投げることは不可能な状況だった。
ローテーションに関しては、すでに24日はウィーラー、25日はモンテロ、26日はデグロム、27日はニースと決まっており、そこで25日のダブルヘッダーの第2試合に誰かの予定を変更して登板させることも難しかった。つまりその試合は、中継ぎ陣でつないで試合を作るしかなく、中でも先発の経験が豊富で、好調な松坂が選ばれたというわけだ。
■松坂の先発は1日限定と言わざるを得ないが…
順当ならば、コローンは次の28日のパイレーツ戦の先発に回ると見られ、ウィーラー、モンテロ、デグロム、ニースと続いていくだろう。つまり現状では、松坂の先発は1日限定と言わざるを得ない。
メジャーではよくあることで、球団フロント、監督、コーチ、本人もそのあたりの事情は理解している。松坂が本当に手にしたいのは先発の座ではなく、ローテーションの座だが、今回巡ってきた今シーズン初の先発のチャンスは、中継ぎの延長として登板することになる。
ただ、松坂は高校時代や西武時代に輝かしい功績を残し、メジャーでもレッドソックス時代にワールドチャンピオンに輝いた日本を代表するスターターだ。1回に限らず、松坂を先発として見たいというのが日本のファンの思いでもある。
実情は先発の谷間を埋める中継ぎ投手の先発かもしれないが、その投球内容によっては状況が変わることもある。メッツでは先発できなくても、スターター不足の球団からのオファーに繋がることもあるかもしれない。色々な可能性を秘める先発の舞台で、松坂がその実力を証明することを多くのファンが期待している。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count
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(2014年5月24日「フルカウント」より転載)