2020年5月18日(現地時間)、新型コロナ対策として、米国テキサス州でZoomを使った陪審制度が採用されたことをロイター通信が報じました。
米国では新型コロナウイルスによるパンデミックの影響により、感染を広める可能性のある陪審裁判の開催が保留されています。
そのため、各州では感染のリスクを避ける形での陪審裁判の方法を模索しており、このたびテキサス州では全米初となるオンラインミーティングアプリ「Zoom」を使った陪審裁判が採用されたとのこと。
ロイターが伝えたところによると、選出された陪審員はZoomを使って双方の弁護士の議論を聞き、評決を下します。この模様は裁判の透明性を公にするためにYouTubeのライブストリーミングで配信されます。評決が下されたのち、裁判の当事者は和解交渉を行うという仕組みです。
テキサス州以外にも遠隔での裁判を検討している州が多くあり、例えばアリゾナ州の最高裁判所ではすでに遠隔陪審を行うための陪審員の選出を許可。インディアナ州でも、陪審員裁判が再開された場合に、遠隔での実施を行うとしています。
ちなみに、5月4日(現地時間)にはナイジェリアでZoomを使った裁判がすでに行われています。この裁判では裁判官、検察、弁護士がオンラインで参加。裁判の結果、被告人には死刑判決が下されましたが、人権団体から「非人道的だ」と非難を浴びています。
遠隔裁判は選出された人が実際に裁判所に集まらなくても済むため、参加しやすいというメリットがあります。もしオンラインで参加する仕組みが支持されれば、そのうちこれがスタンダードになるかもしれません。しかし、人の生き死にを左右するような大きな裁判もオンラインで簡単に済んでしまうようになるかもしれないのはちょっと怖いですね。
Source:Reuter
2020年5月19日Engadget 日本版「米テキサス州でZoomを使った遠隔陪審裁判が実施」より転載
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