中国のネット通販最大手・アリババ集団が提供するキャッシュレス決済「アリペイ(支付宝)」が中国在住ではない日本人にも利用できるようになった。キャッシュレス決済では「ウィーチャットペイ」と並ぶ代表格の1つ。
これまでは中国国内の銀行口座を保有する必要があったが、クレジットカードなどから残額をチャージするだけで開通させることが可能に。
観光やビジネスで中国に行く日本人がキャッシュレス決済を使えない現状があったが、大きく変わることになる。
詳しい機能や使い方を知るため、実際に記者がチャージしてみた。
■ものの5分でチャージ完了
中国内に銀行口座を持たない外国人でもアリペイを使えるようにしたのが、「Tour Pass」と呼ばれる機能だ。(正確にはミニプログラム=アプリ上で動く簡単なプログラム)
アリババの広報担当者によると、ローンチ時期は記事執筆時点で非公開。目的は「外国人観光客の中国本土での観光・決済の利便性向上を目的とした施策」としている。決済機能が使えるのは中国本土のみで、香港やマカオ、それに日本国内の対応店舗などでは利用できない。
また、対応しているのはオフライン決済のみのため、チャージした残高でネットショッピングなどは出来ない。
Tour Passの始め方は簡単だ。アリペイのアプリをApp storeからインストールし、初期設定時に「中国国外(境外地区)」バージョンを選択する。トップページ上部の検索欄に「Tour Pass」と入力すれば見つかるが、11月5日現在ではトップページにも大きく表示されている。
まずはチャージ金額を選択する。
Tour Passのチャージ可能額は最大で2000元(約3万2000円)。あくまで観光やビジネスなどの一時的な滞在を想定しているため、チャージから90日で自動的に失効する。余ったお金は自動的に返金されるシステムだ。
金額を選ぶと、続いてはパスポート番号やクレジットカード情報を入力する。
有効な中国ビザの写真をアップする欄があるが、日本国籍の場合、ノービザで一定期間滞在できるため、パスポート写真をアップすれば良い。
使用可能なカードの種類はVISAやJCB、master cardなどだ。
カード情報を入力すると、英語で注意事項が表示される。
入金した残高は上海銀行のプリペイドカードとして扱われることや、サービス手数料は2019年末までは無料であること、上述の通り90日間で自動失効することなどだ。
ちなみに、無料期間終了後に手数料が発生するかについては、「まだ不透明」(広報担当者)とのことだ。
注意事項に同意すれば、チャージ終了だ。
中国では、キャッシュレス決済が街中の至る所に浸透し、コンビニのレジやタクシーの車内にも支払い用のQRコードが貼られている。
筆者は、直近では7月に大連を訪れたが、現金払いのみでも問題なく過ごすことができた。とはいえ、キャッシュレス決済前提の相手に対して「現金でいい?」と断るのは、どこか気まずい。現地の中国人と同じ支払い方法をあらかじめ準備しておけば、移動や買い物がよりスムーズになるだろう。
【UPDATE:11/05/19:00】
アリババの広報担当者から正式に発表があったため一部情報を加筆しました。