約1400年の歴史を誇る善光寺(長野市)で開催中の先鋭的な試みが「パリピ善光寺」などとSNSで反響を呼んでいる。
善光寺本堂でのプロジェクションマッピングやレーザー光線の演出に合わせて般若心経の詠唱が流れる。四つ打ちのドラムは、まるでEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のようなアレンジだ。
デリバリーブログ運営者のカイトさん(@Kight_blog)は、12月11日夜にiPhoneでこの様子を撮影。「般若心経のトランスアレンジにプロジェクションマッピング!伝統的なお寺なのに先鋭的な催しするのかっこいい」と現地の感動を伝えてツイートした。
今回のライトアップに関して、Twitter上では「パリピ善光寺、般若心経バージョンが良すぎた」「最高にイケてる」「ラストダンジョン感あるBGM」と称賛する声が相次いでいる。
■「阿弥陀如来をイメージしたダンス」に合わせた楽曲だった
このイベントは、12月10日から18日まで開催している「善光寺イルミネーション」の一環だ。コンセプトは「平和の光」。空間デザイナーの長谷川喜美さんがトータルプロデュースを手がけたという。
5年目となる2022年で最後だというこの企画。なぜこんな斬新な演出となったのか。ハフポスト日本版は「善光寺表参道イルミネーション実行委員会」の事務局を務める長野市インバウンド・国際室の担当者に取材した。
担当者によると、この楽曲が使われたのは2021年に続いて2回目。オープニングセレモニーで「阿弥陀如来をイメージした3人のダンスと光の演出をクロスさせるなど、空間演出をデザイン」する中で生まれた曲だったという。
SNS上での反響については「我々が想像した以上に拡散していますが、話題になり、誘客に結びつく可能性があることを歓迎しています」とコメントしている。
■担当者との一問一答
―― 善光寺本堂でプロジェクションマッピングと共に「般若心経をダンスミュージック風にアレンジした楽曲」が流れていることに驚きの声が上がりました。この楽曲はどういう意図から採用されたのでしょうか?
昨年度にベートーベンの交響曲第9番と般若心経の音源とレーザーの生み出すクリエイティブが高評価だった事を受けて、今年度も採用しました。
ダンサーのアオイヤマダさんとMash∞UFOをオープニングセレモニーで起用させていただき、阿弥陀如来をイメージした3人のダンスと光の演出をクロスさせるなど、空間演出をデザインしていく中で、そのような楽曲に仕上がりました。
音楽は長野市交響楽団と般若心経の音源をMash∞UFOと仲の良い、燦(アキ)さんに渡し、コンセプトを理解していただいた上で、特別MIXに仕上げています。
―― SNS上での大きな反響を集めていることをどう感じていますか?
演出をご覧いただいた方からは非常に好評をいただいています。Twitterでは、我々が想像した以上に拡散していますが、話題になり、誘客に結びつく可能性があることを歓迎しています。
世界の平和を願い、折り鶴のモチーフや、平和を想起させるベートーベンの第九を使用した善光寺らしい上品で素敵な演出に仕上がっています。実際に現地でご覧いただくと、集大成にふさわしい光と音の演出に感動していただけると感じています。
―― 今年の「善光寺イルミネーション」のコンセプトは「平和の光」ということですが、ロシアのウクライナ侵攻を念頭に置いたものでしょうか?
それも理由の一つです。善光寺を訪れる全ての人々の世界の平和への想いを明るい未来へ渡す、という願いを込めています。
―― 今年が最後となるのは、善光寺で本尊の御開帳があったことが理由でしょうか?
もともと御開帳を一つの区切りとしてスタートしました。本年度は御開帳のあった年であり、善光寺でのこの演出も最終年と考えています。