埼玉県が子どもの虐待情報を警察と全件共有へ。2018年度中にも実施する予定

上田知事が会見で明らかにした。
上田清司知事
上田清司知事
時事通信社

東京都目黒区で3月、虐待されていたとみられる5歳の女の子が亡くなった事件を受け、警察と児童相談所との連携強化が重要視されるなか、埼玉県の上田清司知事は6月11日、定例会見で、児童相談所が把握した虐待情報をすべて、同県警と共有する方針を明らかにした。

上田知事は会見で、具体的な時期については触れなかったものの「本年度中にもできると思う」などと述べた。全件共有は現在、高知県、茨城県、愛知県で行われており、実現すれば全国で4県目となる。

県こども安全課によると、県は2017年6月から、埼玉県警とさいたま市とともに「児童虐待の未然防止と早期対応に向けた情報共有等に関する協定」を結んでいる。

この協定では、アザなどの傷があり、身体的な虐待が疑われる事案や、子どもが衰弱し、発達の遅れがみられる事案について、加害と被害の因果関係が不明であっても、虐待の疑いがあれば警察と情報共有をするというもの。ただ、それ以外の言葉の虐待などについては、共有の対象外だった。

課の担当者によると、この協定に基づく共有の実施状況などを踏まえ、今回の全件共有を進める方針になった。さいたま市も、同様の情報共有に参加するかは現在調整しているという。

11年連続で過去最多更新

県の2016年度の虐待の通報件数は1万1639件で、11年連続で過去最多を更新している。虐待の通報の経路は、警察を経由した情報が6割にのぼっている。

担当者は「より迅速、そして広範囲に情報を共有することで、今までより判断が早く下せるようになる」とし「明確に、全件共有をしたからといって、即大きな効果が得られるわけではないが、今までの協定をさらに進め、補う形になればと思う」と話した。

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