一般人に性別を確認する場面が物議をかもしていた読売テレビのニュース番組『かんさい情報ネット ten.』が5月13日に放送され、番組冒頭でキャスターの中谷しのぶさんらが謝罪した。
番組が始まると中谷さんは、「今日はまず番組からお詫びをさせていただきます」と切り出し、「街で出会った一般の方のプライバシー、そして人権への配慮を著しく欠いた不適切な放送をしてしまいました」と説明。
「取材に応じてくださった皆さまにご迷惑をおかけしただけではなく、見てくださっている皆さまにも不快な思いを抱かせてしまいました」として謝罪した。
また、「私自身、この番組のキャスターとしてあの場で曖昧な態度を取ってしまったことが、さらに多くの方を傷つけ、不快な思いを抱かせてしまったことを深く反省しています」と自身の対応についてもコメントした。
続けて、当日解説デスクを担当していた小島康裕さんが「その場で、VTRの内容が不適切であることについて、何ら指摘することができませんでした」と謝罪。
また、番組の責任者として、報道局長の乾左登司さんも出演し、「人権上、著しく不適切な取材を行い、その内容を放送したことにつきまして、改めて取材させていただいた方々、視聴者の皆さまにお詫び申し上げます」と謝罪した。
今後の再発防止と信頼回復に努めるとしており、「迷ってナンボ!」の企画内容は休止するという。
どんな放送だったのか?
問題となったのは、10日に放送された「迷ってナンボ!」の企画コーナー。
お笑いコンビ・藤崎マーケットが街を歩いてレポートするコーナーだが、「性別がわからない常連客がいる」という店員の声を受け、客に恋人がいるか確認したり、保険証を提示させたり、胸の膨らみ具合を手で触ったりした。
これに対し、コメンテーターとして番組に出演していた作家の若一光司さんが「許しがたい人権感覚の欠如。そんなもの、よう平気で放送できるね」と怒りを露わにしていた。
中谷アナら番組での冒頭コメント全文
▼キャスター 中谷しのぶさん
先週金曜日、『ten.』2部「迷ってナンボ!」のコーナーで、街で出会った一般の方のプライバシー、そして人権への配慮を著しく欠いた不適切な放送をしてしまいました。その結果、取材に応じてくださった皆さまにご迷惑をおかけしただけではなく、見てくださっている皆さまにも不快な思いを抱かせてしまいました。
いつもこの番組を楽しみにしていただいている皆さまのご期待、信頼を裏切る内容となってしまいました。
私自身、この番組のキャスターとしてあの場で曖昧な態度を取ってしまったことが、さらに多くの方を傷つけ、不快な思いを抱かせてしまったことを深く反省しています。
二度とこのようなことがないように、これから再発防止に取り組んでまいります。
そして、皆さまに信頼していただける報道番組になれるように、一から精進してまいります。
本当に申し訳ありませんでした。
▼解説デスク 小島康裕さん
私は金曜日、読売テレビの解説デスクとして、番組に出演していました。しかしその場で、VTRの内容が不適切であることについて、何ら指摘することができませんでした。
当該のVTRは、人権に対する配慮を著しく欠いていました。
それは私たちが普段から問題意識を持って取り組んでいる、差別や偏見を助長するものであったと思います。
取材を受けてくださった皆さま、視聴者の皆さま、本当に申し訳ございませんでした。
今回のことを反省し、今後二度とこのようなことがないようにいたします。
▼読売テレビ報道局長 乾佐登司さん
番組の責任者としてお話しさせていただきます。
この度は人権上、著しく不適切な取材を行い、その内容を放送したことにつきまして、改めて取材させていただいた方々、視聴者の皆さまにお詫び申し上げます。
注意と配慮を欠き、このような結果となってしまったことを深く反省し、再発防止と信頼回復に今後努めてまいります。
本当に申し訳ございませんでした。