山中伸弥教授 記念講演&トークセッション

ご縁は、10年前に遡ります。
畑恵

ノーベル賞受賞者の山中伸弥先生を講師にお迎えし、毎年恒例の政策セミナーを先日、東京三田にある綱町三井倶楽部で開催させていただきました。

国会議員に初当選以来続けて来ました政策研究会「ジャパン・ビジョン・フォーラム」も、早いもので今年で24年目。

今回は、私がNHKを離れフリーランスとなった際に設立した(株)Kカンパニーの30周年ということもあり、記念講演を山中先生にお願いし、それに続くトークセッションとの二部構成でセミナーを進めさせていただきました。

山中伸弥先生とは昨年、「作新アカデミア・ラボ」のコンセプトBOOK誌上で、"未来を拓く教育とは"をテーマに対談させていただきました。[http://www.sakushin.ac.jp/taidan02.pdf]

ただそのご縁は、10年前に遡ります。

畑恵

当時、科学技術政策を専門として活動していた私は、「研究開発成果実用化促進法案」という法案を策定、議員立法での成立を目指していました。

この法案はそのタイトル通り、基礎研究によって得られた研究開発成果(シーズ)を、応用研究から実用化へ着実につなげ、その成果による恩恵を必要としている患者さんやユーザーに迅速かつ的確に届けられる一貫した研究開発体制を、日本に構築することを目的としています。

実は日本の科学技術政策は、基礎研究は主に文部科学省、応用研究から実用化は経済産業省や厚生労働省などと所管が分かれているため、研究開発体制が分断され、先進各国に比して戦略性という面でも後塵を拝しています。

そのため、国民の税金を基礎研究に投入し素晴らしい研究成果が生まれても、その後の応用研究や実用化研究につながらず、結局せっかくのシーズが海外に流出してしまうこともしばしば。

しかも、日本が生んだシーズから海外で開発された薬や製品を、高い価格で日本人が他国から購入することとなり、そこにまた社会保障費など高額な税金が投入されるという負のサイクルが、日本ではずっと続いているのです。

こうした負のサイクルから抜け出し、日本に一貫性ある戦略的な科学技術体制を実現するための法案策定に向け、国会議員や官僚に向けてのヒヤリングを開催したところ、第一線で活躍する数多くの研究者や技者の方々が、産学問わず協力して下さいました。

そしてそのトップバッターを引き受けて下さったのが、iPS細胞の樹立によりノーベル賞受賞が確実視されていた京都大学の山中伸弥教授でした。

それ以来10年に亘り山中先生には、当時、自民党の「科学技術創造立国調査会」の会長を務めていた船田元議員とともに、家族ぐるみでお付き合いをさせていただき、折に触れご指導をいただいて来ました。

畑恵

「0(ゼロ)から1を生み出す」基礎研究の分野においてノーベル賞という最高峰を極められた後も、山中先生はそれまで以上に精力的に活動され、iPS研究による恩恵を患者さんに一日も早く届けられるよう、京都大学iPS研究所のリーダーとして応用・実用化研究に尽力されています。

また、免疫の拒絶反応が少ないiPS細胞を培養しストックする事業を行う同研究所のスタッフや施設を、長期に亘り雇用・維持するための経費をカバーするため、年間幾度もマラソン大会に出場し、自らが"走る広告塔"となって寄付を集めておられます。

今回の記念講演とトークセッションでは、iPS細胞の人体移植も始まった再生医療や、iPS細胞を活用して難病向けの創薬開発に取組む最前線ついて、語られているのはもちろんのこと、

・ 山中伸弥という稀有な医学者を誕生させたお父様とのエピソード

・ ノーベル賞へと導いた恩師がくれた成功へのキーワード

・ 経済原則より患者ファーストで取り組むiPS研究に立ちはだかる課題

・ 山中先生が海外に拠点を移さず、走り続ける理由

・ 失敗を力に変える「レジリエンス」の大切さ

などなど、見どころ聞きどころ満載ですので、是非、動画をご覧いただけると幸いです。

なお動画は、本来録画されるべきVTRが手違いで再生できず、バックアップ用のデータを編集しているため、画質・音質ともお見苦しくお聞き苦しい箇所が多々ありますことを、あらかじめお詫び申し上げます。

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