山形県で1日1回笑うことが努力義務に。「笑うに笑えない」条例と反発も

条例は、県民に1日1 回は笑うことで、心身の健康づくりに努めるよう要請している
山形県庁(2014年11月24日撮影)
山形県庁(2014年11月24日撮影)
時事通信社

山形県議会本会議で7月5日、「山形県笑いで健康づくり推進条例」が採択された。

この条例は、山形県議会自民党会派が提出したもので、「笑いによる心身の健康づくりを推進することにより、明るく健康的な県民生活の実現を目指す」としている。

具体的には、毎月8日を「県民笑いで健康づくり推進の日」とするほか、県民の役割として「1日1回は笑う等、笑いによる心身の健康づくりに取り組むよう努めるものとする」と定めている。

条例は「努力義務」のため、罰則はない。また、実施に当たっては、「個人の意思を尊重し、置かれている状況に配慮するもの」とされている。

撤回を求める声も

笑いが健康幸福に良い影響を与えることは、過去の研究などから明らかになっている。

山形大学が県民約2万人を対象に実施した研究では、ほとんど笑わない人は、よく笑う人に比べて死亡リスクが約2倍高かった。

しかし、笑う笑わないは個人が自由に決めることだ。

5日の本会議では「条例に定めることで、病気や怪我などによって笑うことが困難な方々の人権を損なうことがあってはならない(石黒覚議員)」という反対意見も述べられた。

また、条例を「笑うに笑えない」として、撤回を求めるオンライン署名も立ち上がっている。

署名を立ち上げた「山形行政チェック有志会」は、条例は笑うことが難しい状況に置かれている人々の「感情、苦しみを無視している」と主張。

「内心の自由を侵害する恐れがあり、基本的人権の観点から見ても、笑いを強要するような条例への賛同はできない」「笑いを一方的に強要するのではなく、各個人の心の健康を尊重して支援策を考えるべき」として撤回を求めている。

署名に対し、「県民が笑えるような工夫、事業をするべき」というコメントも寄せられている。

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