5月8日、火曜日。私は、いつもの火曜日と同じく、学生エディターとして働くハフポストに出勤していた。だけど、この日はいつもとちょっと違う。不安と楽しみが入り混じっていて、なんだか緊張していた。
というのも、この日は1カ月間続けていたヴィーガン生活の最終日であった。この1カ月間、肉を含めて動物性食品は一切口にしなかった。
(ヴィーガン=基本的には動物性食品を食べない人たちのこと。肉、魚を食べないベジタリアンより厳しく、乳製品や卵なども食べない)
そして、この日のランチで「肉解禁」をする予定だったのだ。1カ月間、一緒にヴィーガン生活をしていた編集部の久世和彦さんと「どうせならいちばん肉っぽいものを」と焼肉を食べることを決心し、午前中の仕事を終えた後、私たちは焼肉店に向かった。
「肉の匂いは大丈夫かな」「胃もたれして、午後は仕事ができないかもしれない」などと会話を続けていると、焼肉店に到着してしまった。
早速、焼肉のランチを注文する。肉が来るまでの間、なんだかずっとドキドキしていた。それから少し時間が経つと、脂がのった肉がやってきた。肉と、1カ月ぶりの再会だ。
そして、私たちは肉の扱い方をまるで忘れてしまったかのように、慣れない手つきで肉を焼きはじめた。
肉を焼きはじめると、煙が出てくるが、意外と焼肉の匂いは気にならない。あれ、もしかして、普通においしく食べられるのではないか、と思いながらいよいよ口に運んでみる。
肉を口に運び、ゆっくりと噛んでみると...
久世さんは黙って考え込んでしまい、私は謎に笑いを止めることができない。少し落ち着いてから、お互いにどうだったか確認してみる。
「肉ってこんなに脂すごかったんだ...」「食感がちょっと無理かもしれない」と同意しあう。2人で出した結論は、 すごく表現を悪くすると「噛むたびに脂が出てくるゴムみたい」だった。
(あくまでも肉を1カ月食べなかった人たちの意見です)
結局、私たち2人は肉は2枚でギブアップ。残った肉は一緒に来ていた編集部の方においしく食べていただき、私たちはサラダと野菜のナムル、白米をいただいた。
ちなみに、今日5月22日で焼肉を食べた日から2週間が経つ。私は普通に肉を食べられるようになったが(しかし、選べるのであれば肉より野菜を選んでしまう)、久世さんは今でも肉をあまり食べられないらしい。かろうじてヨーグルトは食べているらしいが、ヴィーガン生活前の食生活に完全に戻すのは難しいそうだ。
こうして、私たちの1カ月のヴィーガン生活は幕を閉じた。すごく楽しくて、新しい発見がたくさんあった「アタラシイ時間」だった。
とりあえず、これで一旦ヴィーガン生活は終わりだが、これからも食生活以外でも冒険をして、たくさんの「アタラシイ時間」を過ごしてみたいと思う。
◇◇◇
私は自分の食生活を1カ月間変えて、アタラシイ時間を過ごしました。そして、そのアタラシイ時間の最後にはこんなストーリーがありました。
ハフポスト日本版は5月に5周年を迎えます。この5年間で、日本では「働きかた」や「ライフスタイル」の改革が進みました。
人生を豊かにするため、仕事やそのほかの時間をどう使っていくかーー。ハフポスト日本版は「アタラシイ時間」というシリーズでみなさんと一緒に考えていきたいと思います。「#アタラシイ時間」でみなさんのアイデアも聞かせてください。