「ザリガニの殻を剥く仕事」が中国で話題だ。
名門大学の大卒初任給を超える月収を手にできるとあり、羨む声も上がっているが、「剥師」には彼らなりの苦労があるようだ。
■ザリガニがテーブルに...剥師の出番
中国紙「工人日報」によると、話題になったのは北京のレストラン。
炒めたザリガニをメニューとして提供しているが、慣れていない客は、上手く殻を剥けないのが悩みのタネ。そこで「剥師」の登場だ。
テーブルで困っている客に声をかけると、手術用にも似たビニール製の手袋をつけて剥き方をレクチャー。
希望があれば、客の分を剥いてあげるのも仕事だ。
ちなみに、中国ではザリガニは「キワモノ」ではなく一般的な食文化。政府の「ザリガニ産業発展報告」によると、2017年時点で、すでに産業全体で2600億元(約6兆8000万円)の市場があるとされている。
■超エリートたちの初任給上回る
注目されたのはその待遇。このレストランでは、30分以内に1.5キロ分のザリガニの殻を剥くなど、厳しい条件を突破すれば仕事に就けるが、その給料は月収1万元(約16万円)を超える事もあるという。
中国では、北京大学や清華大学などの名門大学を卒業しても、大卒初任給の平均は8000〜9000元(12万〜14万円)程度。ネットではエリートを超える収入の高さに羨む声が相次ぐ一方で、「自分で剥かずに食べるザリガニに用はない」とする謎のこだわりも見られた。
■剥師が語る
ネット空間で注目を集めた「剥師」だが、中国新聞網の取材に対し、この仕事ならではの苦労を明かした。
取材に応じた女性は「剥師」歴2年。従業員を対象に行われる「剥き大会」などに参加して技術を高め合い、今では2、3秒で一匹剥けるほどのスピードを誇る。
しかし仕事では毎日500匹以上の殻を剥かなくてはならず、「炒めたてでアツアツのザリガニの殻を剥くわけです。手はいつもやけどしているような感じで、感覚が麻痺してきます」と明かした。
そして、待遇について「確かに給料は高いかもしれません。しかし、たとえどんな仕事でも、収入の高さと苦労の大きさは比例するものです」と語った。