新型のコロナウイルスによる肺炎の感染が深刻化している中国・武漢市は1月23日、市外への拡大を防止するために空港や鉄道などの運行を停止する、事実上の封鎖措置を決めた。
この措置に対し中国共産党系のメディアは「武漢市民は大きな代償を支払うことになる」などとし、武漢で暮らす人たちに敬意を示すよう読者に呼びかける文章を掲載した。
■“頑張れ、武漢”
この措置は23日に発表された。それによると、ウイルスの感染拡大ルートを切断するために、地下鉄や長距離移動鉄道、バスなどの運行を一時的に停止する。また「特殊な事情がない限り、市民は武漢を離れてはならない」としている。
国営通信社・新華社はこれに対し「頑張れ、武漢!」と題した文章を掲載。「武漢人に敬意を表する!我々の手は武漢人と繋がっている!この状況で団結することは黄金よりも尊いことだ」などと呼びかけた。
共産党系の環球時報デジタル版も評論を載せた。
評論では、中国国内の感染例の多くは武漢から持ち込まれたものだとし、今回の決定に対し「はっきりとした選択を全国と世界に示した。それは武漢からの感染拡大を阻止することが、ウイルスとの戦いに勝利する鍵だということだ」と改めて支持を表明した。
その上で、交通の要衝として知られる武漢市から市外に通じるルートを閉ざすことについて「今回の決定は大変難しいものだった」とした。
そして武漢市民に対しては「ウイルスの感染が拡大し、中国に“第2の武漢”が出現するリスクを抑えるために、彼らは大きな代償を払うことになる。武漢の人が正常な外出に影響を受けることは想像に難くなく、市内の公共交通機関が止まるのも不便だろう」と評した。
さらに「これは武漢が新型ウイルスと戦う感動的な一幕だ」と表現はエスカレート。「我々はメディアと数千万の読者の名において、武漢市と1000万人以上の市民に敬意を払う。そして我々は、中国の大衆が、この特殊な状況において全体を顧みる武漢市民に深く敬意を示すと信じている」と訴えた。
文章では最後に読者に対し、「この交通制限の決定が、大きな転換点になることを希望しているが、実現は非常に困難を伴うものだ。これからの日々は、中国社会が心を一つに団結し立ち向かうべきだ。勝利する以外に選択肢はない」と呼びかけた。
複数のメディアが同時にこうした文章を載せた背景には、事実上の封鎖措置となった今回の決定に対する国民の反発を抑える目的があるとみられる。