中国・武漢で原因不明の肺炎の発生が相次ぎ、患者から新型のコロナウイルスが検出された問題で、タイでも中国人女性の感染が確認された。
中国当局などは、人から人へ感染する明確な証拠はないとしているものの、中国では1月25日の旧正月を前に国内や海外を含め大移動が起こる。日本の厚生労働省は、武漢への渡航歴があり、咳や発熱などの症状がある場合は、医療機関を受診するよう呼びかけている。
■タイでも感染者
武漢市当局などの発表によると、2019年12月以降、中国湖北省の武漢市で原因不明の肺炎が59例見つかり、そのうち41例から新型のコロナウイルスが検出された。このうち61歳の男性が1月9日に死亡した。
発症した人の多くが地元の海鮮市場と関わりがあり、死亡した男性も日常的に買い物のために通っていた。
厚生労働省によると、これまでに発見されていた人に感染症を引き起こすコロナウイルスは6種類。このなかには2000年代に中国で大流行を巻き起こした重症急性呼吸器症候群(SARS)や、中東呼吸器症候群(MERS)などもあるが、今回の肺炎とは関係がないことがわかっている。
感染は海外でも確認され、1月8日にタイに入国した中国人女性から新型コロナウイルスが検出された。女性は武漢市民で、容体は安定しているという。
■大移動を控え...
中国では1月25日に旧正月を迎える。この時期は中国全土で年末年始の休みシーズンとなり、多くの人が一斉に働き先から実家に帰ったり、海外旅行に出かけたりする。国営新華社によると、この時期に移動する人は延べ30億人に達する見込みだ。
武漢発の肺炎の感染拡大リスクについて、武漢市当局は1月15日に発表した文章で「人から人へ感染する明確な証拠はなく、限定的な感染の可能性を排除できないが、リスクは比較的低い」と発表した。
一方で、発症者の多くが関わっていた海鮮市場の従業員が感染し、その後市場と関わりのない妻から新型ウイルスが検出されたケースもあったという。
日本の厚生労働省も「ヒト-ヒト感染の明らかな証拠ない。また、医療従事者における感染も確認されていない」としている。
一方で、武漢への渡航歴があり、咳や発熱の症状がある場合は、医療機関を受診するよう呼びかけている。また、加藤勝信・厚生労働大臣は記者会見で「検疫体制に遺漏がないようにする」と話している。