※この記事には上半身裸の女性の写真が含まれます
乳がんを経験した女性たちが、勇気を奮い起こしてカメラの前に立った。
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手術を受けた胸を隠すものは何もない。
女性たちの中には、今でもがんと闘っている人もいれば、乳房を切除してがんを治癒した人もいる。もはや治療は不可能と医師から告げられた人もいる。
しかし彼らは一つの点で一致している。がんに自分の自尊心を奪わせたりはしない、という思いだ。
この写真シリーズは「Stand Up To Cancer(がんに立ち向かう)」キャンペーンの一環として撮影された。写真を担当したのはイギリスの写真家アミ・バーウェルさん(39歳)。
バーウェルさんはこの写真プロジェクトについて以下のように語っている。
「胸を失うとはどういうことなのかを伝えたいと思いました。女性たちは胸がなくても美しく、がんに立ち向かう強さがあります」
「つらい経験をしても、女性たちは強く魅力的です。幸せな人生を送っていることが伝わるのではないでしょうか」
写真シリーズは、乳がん月間である10月の初日にリリースされた。プロジェクトを通して、乳がん薬の臨床研究などのための募金をつのる。
胸を見せるのはとても勇気のいること。なぜモデルになったのか、女性たちが思いを語った。
ジリアン・トリムさん(55歳)
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ロンドンに住むジリアン・トリムさんは、2015年に乳がんと診断され、両乳房切除手術を受けた。
「私と同じようにがんを経験する女性たちに、がんと向き合って生きることはできると伝えたい。それは楽なことではありません。でも、時間はかかっても、現実を受け入れながら生きることができます」
「がんになっても美しく魅力的な人間でいられるんです。写真を撮って、がんと闘ってきた自分を褒めたかった。写真を見ると、自分の強さを改めて思い出します。
ジョアンナ・レイノルズ(49歳)
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「知り合いの女性の中には、乳がんの手術後に自分の体を受け入れられず、苦しむ人もいます。だから私は、がんを経験しても自分の体を好きでいられるということを伝えたかった」
キャロライン・ハーパー(59歳)
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「乳房を再建するだけが選択肢じゃない、手術後に胸をそのままにするという自由もあると伝えたい」
メル・ジョンストン(46歳)
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2014年に乳がんだと診断された時、がんはリンパ節まで広がっていた。化学療法と手術を受けたが、2016年にがんが肺にも広がっていることがわかった。治療は不可能だった。ジョンストンさんはこう語る。
「このプロジェクトに参加できてとても嬉しい。このキャンペーンの主旨は、がんへの反抗。(写真を撮った)アミはそれを見事にかたちにしてくれました」
「プロジェクトに参加した理由は、新しい経験をして『不可能』という言葉をなくすため。私はがんと診断されて以来、色々なことに挑戦するようになりました。そうすることで、人生を最高に楽しめるようになりました」
「もう一つ理由があります。乳房切除の傷は、あまり語られていません。それをもっとオープンにしたかった。(乳房がなくなったけれど)私は今でも女性。胸があるかないかで、女性かどうかが決まるわけじゃありません。体の一部がなくなっても、私は私です」
クレア(48歳)
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「乳がんについてもっと知ってもらいたいと思って、プロジェクトに参加しました。乳房を再建しないという選択についても知って欲しかった」
ルーシー・ヴェリンダー(44歳)
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「このプロジェクトは、胸がなくなっても、世界の終わりではないと教えてくれる。胸がなくなった後も、希望の持てる人生は続くのです」
デビー・バロン(46歳)
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「人工乳房は自分にはあわないから、つけたことがありません。この写真を最初に見たのは、家族と休暇を過ごしている時です。思わず泣きそうになりました。本当は、仕上がりがすごく怖かった。もともと自分の写真があまり好きじゃありませんし」
「でも心配は全く不要でした。アミの写真は素晴らしかった。自分を女性らしい、魅力的だと感じられたのは、治療を受けてから始めてです」
「これまでは水着を着ることに抵抗があったけれど、写真を見てから、自分を肯定できるようになりました。一緒に水着を着て泳ぎにいけるようになって、子供たちも喜んでいます」
シャロン・ブラント(46歳)
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「私たちはみな、自分は役立つ人間だと思いたい。だからがんは私自身にも、私の大切な人たちにとってショックでした。そのつらい時に、写真撮影をするという前向きな経験をして、明るい気持ちになれました」
デボラ・ウィリアムス(53歳)
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「この写真を見て、乳がんについてもっと知ってもらえたら嬉しいです。そしてどんな傷があろうと、私たちは美しいということも伝えたい。私自身は、写真からすごく勇気をもらえました。『恐れることでも恥じることでもなくて、褒めることなんだ』と思いました」