世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は3月11日、感染が広がる新型コロナウイルスについて、「世界的な大流行」を意味する『パンデミック』と判断したことを表明した。
パンデミックとは?
「パンデミック」とは、感染症の世界的な大流行を示す言葉で、WHOがパンデミックを宣言するのは新型インフルエンザが流行した2009年以来初めてのケース。
WHOは、インフルエンザの感染以外で「パンデミック」の基準を明確に定めていない。
WHOで緊急事態への対応を統括するマイク・ライアン氏はこれまで、新型コロナウイルスの感染拡大が「パンデミック」に該当する条件として、「全世界の人がこの感染症にさらされる可能性が高いと考えられている状態」などと説明。
慎重な表現を用いてきたが、世界的な感染の広がりを受け、対策強化を呼びかけるため強いメッセージを表明したと見られる。
「パンデミック宣言」で何が変わる?
WHOは、感染が広がっている国に一層の対策強化を訴えたが、今回の「パンデミック宣言」によって、WHO加盟国に新たな対策などが義務付けられるわけではない。
アダノム事務局長は、「パンデミックと認定したからといって、このウイルスがもたらす脅威に対するWHOの見方や評価は変わらない。 WHOの対応は変わらないし、各国が取るべき対策も変わるわけではない」と説明している。
安倍首相「国際社会と協力しながら対応を強めていく」
WHOの表明を受けて安倍晋三首相は12日朝、記者団に対し、「世界的な感染の広がりが続いていることへの判断だと思う。日本としても、これまで以上に国際社会と協力しながら対応を強めていきたい」とコメント。
国内の対応については、「国民の命と健康を守るために、あらゆる手立てを講じてきた」として、「今後警戒を緩めることなく、必要な対策は躊躇なく決断して実行していく。感染の広がりを抑えていくために全力を尽くす」と述べた。