ウイスキーをおいしく飲むのに、相性がいいとされるのがチョコレートだ。といっても、どちらも味や香りはさまざま。いったいどんなマリアージュ(組み合わせ)がいいのか。ウイスキーの「伝道師」こと、サントリーの佐々木太一さん(46)に聞いた。
佐々木さんは5月21日、サントリーとハフポスト日本版が東京都内で開いたウイスキー関連のイベントで講師を務めた。佐々木さんは自社が販売するウイスキーと、味が複数ある明治の「ザ・チョコレート」を例にマリアージュを紹介した。
サントリーの「山崎」は日本を代表するシングルモルトウイスキーだ。「シングルモルト」とは、大麦麦芽(モルト)を原料に、単一の蒸溜所で製造されたウイスキーのこと。
山崎は大阪府島本町にある山崎蒸溜所で作られており、近くでは環境省の「名水百選」の1つ、「離宮の水」がわく。原料にも良質な水を使っているのが特徴だ。
「イチゴやさくらんぼと言ったベリー系の香りがして、爽やか。余韻は甘いバニラ」。山崎の味わいをそう表現する佐々木さんによると、同じくフルーティーなチョコレート、フランボワーズ(ラズベリー)味を合わせるのがいいという。
チョコレート以外にも、山崎はようかんや大福などの甘いものが合うという。味噌も程よく味を引き立てるといい、例えばサワラの西京焼きがいい組み合わせだ。逆に塩っぽいものは合わないという。
ジムビームは世界で最も売れているとされるバーボンウイスキーだ。バーボンはアメリカ・ケンタッキー州を中心に製造されているウイスキーで、トウモロコシが原料。その名前の由来はフランスの「ブルボン朝」だ。
フランスは、アメリカがイギリスとの間で独立戦争を繰り広げた際、アメリカに味方した。それにちなんで、当時、アメリカ側の指導者として活躍したジェファーソンがケンタッキー州内のある地域をバーボン郡と命名した。
その後、この地域で盛んに作られるようになったウイスキーの名前にも引き継がれた。
佐々木さんによると、バーボンウイスキーは常に新しい樽で熟成されるのが特徴で、特に「ミルクっぽい感じがある」(佐々木さん)。サニーミルク味を合わせると、より一層味わいを引き立たせることになるという。
メーカーズマークもケンタッキー州のバーボンで製造されているが、赤い「封蝋」が一つ一つ手作業で作られるなど、クラフト感が特徴だ。
佐々木さんは「エキス分が強い味」と話す。苦味があるため、カカオの含有率が70%あるコンフォートビター味がマッチするほか、オレンジピール(オレンジの皮)とも合うという。
カネマラはアイリッシュウイスキーの「異端児」と言われる。その理由は製法にある。
アイリッシュウイスキーは通常、フルーティーでまろやかな味わいが特徴だ。蒸溜回数を増やすことで実現しているが、カネマラは別の製法を用いている。ピート(野草や水生植物などが炭化してできた泥炭)をたいて原料の麦芽を乾燥させる手法で、「スモーキーフレーバー」となっている。
アイリッシュウイスキーの伝統的な作り方だったが、現在残っているのはカネマラだけとなっている。佐々木さんはその風味を「土っぽい」と表現し、抹茶味と合わせることを勧める。「カネマラと抹茶が口の中で混ざり合い、北海道の大地を連想させる」と佐々木さんは話す。
ボウモアはピートを使って大麦を乾燥させるスコッチウイスキーの代表銘柄の1つ。スコットランドのアイラ島にある蒸溜所で作られている。
ピート特有のスモーキーフレーバーに加え、海に面した岩盤を削って作った貯蔵庫は満潮になると海水をかぶるため、少し塩っぽい味がする。
苦味とフルーティーさ、香味も強い「複雑な味」(佐々木さん)といい、苦味をベースにしつつも幅広い味を持つエレガントビターがいいという。
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