「避難は様子を見て」とためらうと手遅れに…。災害の恐れがあるとき、早めの避難をすべき理由とは?

車が使えるのは浸水深30cmまでです。

大雨の影響で河川氾濫や土砂災害など災害の恐れがあるとき、市町村は避難勧告や避難指示を出します。

しかし「避難はようすを見て」とためらっていると手遅れになることがあります。

車での避難は浸水深30cmまで

ウェザーニュース

早めの避難が必要な理由は、道路をおおう水が深くなるほど歩行や自動車の走行に支障きたし、避難が難しくなるからです。国土交通省HPの「浸水深と避難行動について」は、次のように早めの避難を呼びかけています。

「浸水深」は浸水域の地面から水面の高さをいいますが、自動車の走行は浸水深が10cmまでなら問題ありませんが、10〜30cmになるとブレーキ性能が低下し、30〜50cmではエンジンが停止するため車が使えません。つまり、車が使えるのは浸水深30cmまでです。

浸水深30cmでも、濁った水では路面の状況がわかりません。道路脇の溝やフタがはずれたマンホールにタイヤがはまる恐れもあるので、浸水深が浅いうちに早めの避難が必要なのです。

50cmの水深でも歩行は困難

歩いて避難する場合、浸水深がヒザの高さ(40〜50cm)でも水の流れに押されるので大人でも難しくなります。事例では、東海豪雨水害(2000年)でゴムボートに救助されて避難したときの浸水深はヒザの高さでした。つまり、ヒザまで水があると自力で歩けないのです。

伊勢湾台風(1959年)で避難した人へのアンケート調査では、浸水深が成人男性で70cm以上、成人女性で50cm以上の場合は避難できなかったそうです。浸水深が50cmに達する前に早めの避難が大切です。

長靴ではなく運動靴、棒で足下を確認

西日本豪雨時の岡山市内の夜間の様子(2018-07-07)
西日本豪雨時の岡山市内の夜間の様子(2018-07-07)
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冠水している道路は危険なので次のことに注意します。

(1)動きやすい格好で
持ち物はリュックに入れて、両手は自由に使えるようにします。長靴は中に水が入ると歩きにくくなるので、運動靴で避難しましょう。

(2)水の勢いは思った以上
はん濫した水の流れは、思った以上に勢いがあります。歩くのが難しければ、緊急避難として高い頑丈な建物にとどまってください。

(3)冠水すると道路が見えない
はん濫した水は茶色く濁っていて、水路と道路の境、フタが開いているマンホールの穴などが見えません。棒(雨傘・杖など)で足下を確認しながら進みます。

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