航空自衛隊三沢基地に所属する最新鋭ステルス戦闘機「F-35A」が、同基地の東の太平洋上で墜落したと防衛省が4月10日に発表した。
9日の夜間訓練中に通信が途絶え、レーダーからも機影が消えたことで行方を捜索していたが、現場周辺の海上で機体の一部が見つかったことから墜落と確認したという。
CNNによると、墜落した機体を含む三沢基地の「F-35A」十数機は3月末に運用を開始したばかりだった。どんな戦闘機なのかを調べた。
■3タイプあるF-35戦闘機は、冷戦終結が生んだ。
1980年代後半、アメリカでは空軍、海軍、海兵隊が、それまで使用していた戦闘機や攻撃機の後継機種の研究をしていた。少なくとも4機種が必要となった。
しかし米ソ間の冷戦が終結したこともあり、国防予算を削減するために、アメリカ国防総省が「用途や能力で共通化できるかものはでできるだけまとめて、1つの新型機で全てカバーする」という方針を出した。
こうして、1996年の総合打撃戦闘機(JSF)計画に基づいて開発されたロッキード・マーティン社の「F-35 ライトニングII」だった。
この経緯から「F-35」は全部で3タイプある。基本形となる空軍向けが「F-35A」だ。このほか、海兵隊向けに、短距離での離陸や垂直着陸ができるSTOVL機が「F-35B」。海軍が空母に搭載するための艦上型が「F-35C」となっている。
■日本ではA型に続いてB型も導入予定
F-35は、機体のレーダーで捉えにくい高いステルス性能が特徴だ。アメリカを含めて11カ国で導入されることが決まっている。
日本では2011年の閣議了解で、「F-35A」42機の取得を決めた。2018年1月から三沢基地に配備が開始された。
機体は高額なことで知られ、航空自衛隊が導入した「F-35A」1機あたりの価格は約130億円だ。国内配備分は、最初の4機を除いて三菱重工業が組み立てを担当したことで、コストがアップしている。
日本では、「F-35B」についても導入が決まっている。2018年12月に策定した防衛大綱では、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」を改修して「F-35B」を搭載する予定だ。
安倍政権は同月の閣議で、「F-35A」を63機追加導入するほか、「F-35B」42機を追加調達する方針を了解した。
■これまでの事故は?
CNNによると、2018年9月にはアメリカ海兵隊の「F-35B」がサウスカロライナ州で墜落している。アメリカ国防当局は燃料管の不具合が原因との見方を示し、F35の運用を一時的に停止して検査を実施していた。
参考文献:
青木謙知 「F-35はどれほど強いのか 航空自衛隊が導入した最新鋭戦闘機の実力」 (サイエンス・アイ新書)