イーロン・マスク氏によってTwitterが買収された後、何十万ものユーザーが、Twitterの代わりとなるSNSを探している。
その1つとして注目されているのが、6年前に誕生したMastodon(マストドン) だ。Twitterをやめた人々が、このソーシャルメディアに殺到している。
Mastodonはどんな場所で、何ができるのだろうか。
Mastodonとは?
Mastodonは、現在29歳のドイツ人プログラマーのオイゲン・ ロチコ氏が2016年に立ち上げたソーシャルメディアだ。
ちなみに「Mastodon」とは、かつて存在したゾウやマンモスに似た大型哺乳類で、イメージキャラクターにもマンモスのような生き物が使われている。
Mastodonの仕様は、一見したところTwitterに似ている。ユーザーはプロフィールを作成し、メッセージを投稿する。また、フォローしているユーザーの投稿はタイムラインに表示される。
しかし大きな違いは、Mastodonがひとつの拠点で管理されたりひとつの企業に所有されたりしておらず、サーバーが複数存在するということだろう。
Mastodonは分散型のオープンソースのソフトウェアであるため、誰もが自由に「インスタンス」と呼ばれるサーバーを立ち上げられる。
職業や趣味、地理など、さまざまなテーマをベースにした膨大な数のインスタンスが存在しており、管理者が独自のルールを設定して、スパムなど特定の内容の投稿を排除できる。
ユーザーは好きなインスタンスを選んで登録できるが、気に入らなければ、別のインスタンスに変更することも可能だ。
また、投稿できる文字数は500文字とTwitterより多い。広告がないのも大きな違いだ。
さらに、人気や特定のメッセージをタイムラインの上位または下位に表示するアルゴリズムもなく、投稿は古いものから時系列で表示される。
どうやって登録する?
Mastodonの登録は、Twitterに比べて少し複雑だ。
まずは自分にあうと思えるインスタンスを見つけて、アカウントを作成する。
申請するだけで参加できるインスタンスもあれば、管理者の承認が必要なものもある。
インスタンスの種類は、特定の国や言語、職業、趣味、セクシュアリティ、テクノロジーや気候変動活動などをベースにしたコミュニティから、単に投稿するだけの場所などさまざまだ。
ユーザー名も少し複雑で、自分の拠点となるインスタンスに紐づいて作られる。例えば「journa.host」というインスタンスに「nick」というユーザー名で登録した場合、@nick@journa.host になる。
また、自分が所属するインスタンス以外のユーザーとやり取りをしたり、フォローしたりすることも可能だ。
Mastodonによると、現在約3600のインスタンスが存在しており、ここ数週間で25%増加した。これは過去最速だという。
自分でインスタンスを立ち上げた場合は少額の費用がかかるが、多くがクラウドソーシングを利用しているという。
<Mastodonのツイート:自分のMastodonサーバーを持つための費用は、Twitterの青い認証マークより安いようです。さらに費用を支払って管理人になることで、データやアイデンティティ、ソーシャルグラフを自分で所有できます>
どうやって使う?
Mastodonの使い方はTwitterと似ているが、機能の呼び方が異なる。ツイートは「トゥート」、リツイートは「ブースト」と呼ばれ、星マークをクリックするとお気に入りに追加できる。
その一方で、Twitterと同じようにメンションとハッシュタグがあり、写真や動画、その他ファイルを投稿できる。また、インスタンス全体ではなく特定のフォロワーだけにメッセージを送信することも可能だ。
投稿したメッセージはタイムラインに表示されるが、興味深いのは「ローカル」と「連合」があることだ。
「ローカル」は自分が属しているインスタンスの投稿のみ表示されるタイムラインで、「連合」には、所属するインスタンスと連合関係にあるインスタンスの公開投稿も表示される。これは、ユーザーが興味を持つ可能性があるコンテンツを探すための機能だという。
どんな人たちが使ってる?
ユーザーの中には、なりすましを理由にTwitterアカウントを停止された、コメディアンのキャシー・グリフィン氏もいる。
また、ニューヨーク・タイムズのコラムニストであるポール・クルーグマン氏は6日、「起こりうるマスカリプス(「マスク」と終末を意味する「アポカリプス」をかけている)への予防措置」としてMastodonアカウントを作成したと明かした。
その一方で、利用者が爆発的に増加したことで、写真や動画のアップロードができないなどサーバーの不具合も報告されているが、ロチコ氏は改善に取り組んでいるとしている。
ソーシャルメディアは今後どうなる?
マスク氏のTwitter買収後に、ユーザーが殺到しているMastodonだが、他の新たなSNSが登場する可能性も十分に考えられ、今後何が起きるかはまだ推測の域をでない。
テックライターのカラ・スウィッシャー氏は6日、「期待できそうなものがたくさんある」とコメントしたが、詳細は明かさなかった。
ロチコ氏にとって、Mastodonに対する期待はSNSを知ってもらうための良いチャンスだという。
「 Mastodonやフェディバース(相互につながり合うサーバーのネットワーク)がこれほど注目されたことはないと思います」と投稿している。
「これは、ソーシャルメディアはそれぞれ異なり、単一企業のコントロールされるのではなく、プロトコル(通信規約)の元に運営できるということを知ってもらうための絶好の機会です」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。