新型コロナウイルスの影響で旅行客が減った2020年のニューヨーク。しかし12月の初め、思いがけない「大物」の訪問客が訪れた。
ニューヨークのランドマークの一つであるハドソン川にやってきたのは、ザトウクジラだ。
川を跳ねるように泳ぐ姿が、複数の人によって確認された。
フォトジャーナリストのビヨルン・キルス氏もそのひとり。
ロイターによると、キルス氏は12月8日の午前10時頃に、体長約40フィート(約12メートル)のクジラがハドソン川を泳いでいるのに気が付いた。
ツイート「ニューヨーク港の自由の女神の近くに、ザトウクジラが姿を見せました」
キルス氏はボート会社「ニューヨークメディアボート」を経営しており、アザラシなどの海の生き物を定期的に見かけるという。しかしクジラを目撃したのは2016年以来だ、とBBCに話す。
クジラがやってきたのは、新型コロナウイルスの影響で港のボートの行き来が減ったことが関係しているのではないかとキルス氏は考えている。
クジラは何度も水面に姿を現し、自由の女神を通り過ぎる時には2度大きく尾びれを見せた、とキルス氏は話す。
シンガーソングライターのアンドレス・ハビエル氏も、7日夕方にハドソン川のピア84からクジラを撮影している。
ロイターによると、沿岸警備隊もクジラを確認したが、網に絡まるなどの危険がない限りは、特に何もしないという。
水質が改善されて、クジラが増えている
ニューヨークで海洋生物の研究・保護活動に携るNPO団体「ゴッサム・ホエール」は、2011年から大西洋でクジラのデータを集めてきた。
同団体はツイッターで「今の時期ハドソン川は食べ物が豊富なので、クジラはおそらくエサを求めて港にやってきたのだろう」と説明する。
ゴッサム・ホエールによると、ハドソン川では2016年にもザトウクジラが目撃されている。
ツイート「2016年にも1頭のザトウクジラがハドソン川に1週間滞在し、話題になりました」
ニューヨーク港は、環境政策のおかげで近年水質が改善し、海の生き物たちが増えている。
ナショナルジオグラフィックによると、20年前は化学物質やゴミなどの影響で水質が悪く、クジラを目撃するのは考えられないことだった。
しかし様々な環境政策が取られた結果、クジラが訪れるようになった。
ゴッサム・ホーエルが2011年に確認したクジラは5頭。それが2018年には272件に増加した。