混雑時にハンバーガーの値段を上げるようなことはありません――米ウェンディーズが、時間帯による価格の値上げを否定した。
「ウェンディーズのハンバーガーが時間次第で変わる」と話題になったきっかけは、同社が発表したダイナミックプライシングの導入だ。
同社のカーク・タナーCEOは2月に開かれた決算説明会で、「早ければ2025年から、ダイナミックプライシングや、時間帯で異なるメニュー、AIによるメニュー変更、提案販売など、より強化された機能のテストを開始する予定だ」と明かした。
ダイナミックプライシングとは、需要が高い時には価格を上げ、低い時には下げる「変動料金制」だ。
このニュースが大きく取り上げられると、「自分だったら、価格が下がるまで店内で座って待つ」「値段が高い時に働いている労働者は、高いお給料を払ってもらえるんですよね?」などの声がソーシャルメディアに投稿された。
さらに、米バーガーキングも「私たちは、お腹を空かせている人たちに多くの料金を請求すべきだとは思いません」とウェンディーズのダイナミックプライシングを意識したと見られるコメントを投稿。
投稿では、同社アプリを使って3ドル以上注文すると、看板メニューの「ワッパー」か「インポッシブル・ワッパー」が無料になる期間限定のキャンペーンも発表している。
一方、ウェンディーズはダイナミックプライシングの導入が大きく報じられた後の27日に、「値上げはしない」とブログで強調した。
「一部の報道では、需要が最も高い時に価格を引き上げると誤解されていますが、そのような計画はなく、最もお客様が多い時間に値上げすることはありません」
「私たちが将来的に試験導入する可能性のある機能はすべて、お客様と店舗スタッフに利益をもたらすように設計されています。デジタルメニューボードがあれば、時間帯によってメニューの内容を変えたり、特に忙しくない時間帯などに、より簡単にお客様に割引やお得なオファーを提供できます」
この発表を見る限り、ウェンディーズの計画している「ダイナミックプライシング」は、値上げではなく値下げになる可能性がある。
ピーク期に価格を上げる収益戦略は、飛行機などで導入されてきたが、技術の進化により、近年では分刻みでの価格変動が可能になっている。
海外では、配車サービスのウーバーが、ラッシュアワーやイベント、天候などで需要が高い時間帯に料金が上がる仕組みになっている。
ダートマス大学ビジネススクールのロブ・シュムスキー教授は、 予測不可能な価格変更は顧客を混乱させ、競合他社に流れる結果を招く可能性もあるとNPRに話している。
「このアプローチの問題点は、顧客にとって非常に不透明であり、計画を立てるのが難しいことです。価格が一定していないために再び利用したくないと思う人も出てくるでしょう」
その一方で、シュムスキー氏は、「1日を通して価格が一定であれば、企業側はピーク時に収益を失うことになる」とも説明。
ピーク時以外に価格が下がる可能性がある点では、消費者へのメリットも存在するとも述べている。