身体的、精神的、社会的に良好な状態を意味するウェルビーイング。就職や転職における企業選択の基準の1つにもなっている。
そんな中、求人検索エンジン大手「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japanは、レポート「2023年 日本の職場におけるウェルビーイング:成長意欲の高い社員が会社の繁栄を生み出す仕組み」を公開した。
この調査ではアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、インド、日本の8ヵ国を対象に「職場におけるウェルビーイング」に焦点を当てた。調査結果から見えてきた日本の「今」とは?
成長意欲が高い労働者は、全体の「7%」
調査がまず浮き彫りにしたのは、日本は成長意欲が高い従業員の割合が低いという現状だ。
職場のウェルビーイングに対する期待の大きさは、他7カ国と同様に8割超が「1年前と同等かそれ以上」と回答した。しかし、「目的意識が明らか」や「仕事に満足感を持っている」など成長意欲がある労働者の割合はわずか7%で、いずれも20%超だった他7カ国と大きく差をつけて最下位だった。
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また、企業側のウェルビーイングへの取り組みも、日本は遅れをとっている傾向にある。従業員のウェルビーイングや幸福度を高めるためにできうることを全てやっている」「会社は利益よりも従業員のウェルビーイングを優先している」と感じる割合はどちらも8カ国中で最下位。1位のインドとは、どちらにおいても3倍ほどの差が開く結果となった。
仕事に給料以上の価値はない?
仕事に給料以上の価値があると考えるかに対して「賛成」「やや賛成」と答えた割合も、7カ国が8割超だったのに対し、日本は45%にとどまった。
「仕事には給料以上の価値があることもある」という考えに「やや賛成」が35%で、「賛成」と回答したのは10%だけだった。
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職場のウェルビーイングの向上を目指すことは、仕事に給料以外の価値を寄与し、企業への帰属意識や成長意欲にも繋がりそうだ。
ウェルビーイングを優先する企業の特徴
職場のウェルビーイングにおいて遅れを取っている日本だが、積極的に取り組んでいる企業の多くでは、既に顕著な変化が起きているようだ。
日本国内で「利益よりもウェルビーイングを優先している」と考える企業は、そうではない企業に比べて成長意欲が高い従業員がいる可能性が4.75倍となっている。成長意欲が高い従業員の定着率は高く、83%が12ヵ月後も現在の職場に留まる意向を示している。
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職場のウェルビーイングに期待している従業員が多いことを加味すると、人材不足を回避するためにも、企業が今後ウェルビーイングの向上に取り組むことの重要性がうかがえる。
実際、「従業員の気持ちを気遣う企業を見つけることは重要である」という考えに賛成する人の割合は、8ヵ国すべてで高水準にある。日本でも「賛成」「やや賛成」の合計が78%に上り、より具体的なアクションに踏み出す企業も増えていくことが推測できる。
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ビジネスシーンにおいても、加速が予想されているウェルビーイングは、企業価値とも直接に結びつき始めている。
また、昇給、育休取得、部署異動など、個人によって求めるウェルビーイングの形が違うこともある。従業員とのコミュニケーションを重ね、個々のニーズを把握することが、職場におけるウェルビーイングの第一歩になりそうだ。