肥満症の減量手術を受けると、多くが変わる。食欲、体重、健康......。
それだけではない、気持ちも変わるようだ。
アメリカの学術誌「The Journal of the American Medical Association Surgery」に3月28日に掲載された研究によると、手術で体重が減ると、交際ステータスが変わる可能性がある。
それも、独身と既婚で違う結果が待っているようだ。
手術前に交際・結婚していた人たちは、別れた割合が高かった一方で、独身だった人は、結婚したり交際を開始した人が増えていた。
研究に携わった医師のジョセフ・インバス氏とルーク・ファンク氏は、研究について以下のように説明する。
「(手術を受けると)多くの場合、自信が増します。また、何年もやっていなかったアクティビティを始めて行動スタイルが変わったり、新しいことに情熱を持つようになったりもします。患者や周りの人たちが手術後の生活に慣れるにつれ、人間関係が変わりがちです」
■ 減量手術は、一般的になってきている
研究によると、手術を望む人の数は世界的に増えている。
カナダ衛生情報局によると、カナダの病院で2012〜2013年に実施された減量手術は約6000件。過去6年間と比べて約4倍に増加している。カナダ典型的な患者は、肥満や糖尿病、高血圧、不眠症を抱える40代の女性だという。
■ 心理的、社会的な影響はよくわかっていない
これまで、手術後の身体面での記録は残されてきたが、心理的、社会的な面での影響は記録されてこなかった。
今回、手術が交際ステータスに与える影響を調べるため、研究者たちは肥満の減量手術を受けたスウェーデン人の2つのグループを、手術を受けていない人たちと比べた(グループ1と2の合計人数は約3万2000人)。
■ 結婚していた人たちはどう変わった?
その結果、グループ1では手術前に結婚か交際していた人たちの17%が術後10年後に別れていたが、手術を受けていない人たちが別れた割合は11%だった。
グループ2では、手術を受けた人の14%は4年後に別れていたが、受けていない人が別れた割合は8%だった。
■ 結婚していなかった人たちはどう変わった?
一方、独身グループでは異なる結果が出た。
グループ1では、手術を受けた人は受けていない人より、新たに交際を始めた人数が約2倍多かった。
グループ2では、手術を受けた人の約15%が4年後に結婚したか新しく交際を始めていたが、手術を受けていない人が結婚・交際を開始した割合は11%だった。
また、独身か既婚かに関係なく、体重減少が大きいほど交際ステータスが変わったという。
研究を発表したインバス医師とファンク医師は、下記のようにコメントしている。
「手術前にカウンセリングをして、手術後に起き得る変化を伝えるのは、私たちの医療従事者の責任です」
「減量手術は効果のある治療であるだけではなく、ポジティブな変化を起こし得るという情報は、重度の肥満患者にとって安心材料になります」
ハフポストカナダ版の記事を翻訳しました。